日本銀行が22、23日に開く金融政策決定会合では、政策金利の維持が決まる見通しだ。植田和男総裁の長期金利上昇と円安に関する見解や新たに示される経済・物価見通しを基に、今後の利上げ軌道を探ることになる。

日銀は昨年12月に政策金利を0.5%から30年ぶりの高水準となる0.75%に引き上げた。複数の関係者によると、今会合では経済や物価、金融環境への影響を見極める局面にあるとして、政策金利の据え置きが決まる見込みだ。日銀は先月の利上げ後も政策正常化の継続姿勢を堅持しており、次の利上げの時期やペースが焦点となる。

日銀の植田和男総裁

2月の衆院選に向けて与野党が共に消費税減税を掲げたことから、市場では財政拡張懸念が高まっている。国債市場では金利上昇が急速に進み、為替相場の円安基調が続く中、植田総裁の市場との対話力が試される会合になる。

高市早苗首相は衆院解散を表明した19日の会見で、2年間に限った飲食料品の消費税率ゼロの実現へ議論を加速すると語った。政権が掲げる責任ある積極財政で、行き過ぎた緊縮志向と未来への投資不足を終わらせると宣言した。

一方、立憲民主、公明両党が結成した「中道改革連合」は同日発表した基本政策の中で、食料品の消費税をゼロ%に恒久的に引き下げることを掲げた。

債券市場では40年国債利回りが初めて4%を上回るなど超長期ゾーンを中心に長めの国債利回りが急上昇。1ドル=160円に迫る円安基調が続く外国為替市場では、政府による為替市場介入への警戒があるものの、円売り圧力が依然として根強い。

日銀はこれまで、長期金利が急激に上昇する例外的な状況では機動的に国債買い入れオペの増額などで対応すると説明してきた。しかし、金融政策の正常化を進める中での国債購入の増額はハードルが高く、一段と円安が進む可能性も否定できない。

片山さつき財務相は20日のブルームバーグとのインタビューで、長期金利急騰を受けて市場安定の対応を「必ず約束できる」と言明。円安に対しては為替介入も含め「何ら除外される手段はない」と述べた。長期金利上昇と円安に政府も警戒感を強める中、市場は植田総裁の発言に注目している。

展望リポート

会合では、経済・物価情勢の展望(展望リポート)を議論し、最新の見通しを示す。政府の経済対策などを反映し、2025年度と26年度の成長率見通しが上方修正となる可能性を関係者は指摘した。昨年10月の前回リポートでは、25、26年度の見通し(政策委員の大勢見通しの中央値)は共に前年度比0.7%増、27年度は1.0%増だった。

消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)見通しは、ガソリン税の旧暫定税率の廃止などが下押し要因となるが、経済対策による需要押し上げや食料品価格の伸びの鈍化が緩やかなことなどを踏まえ、26、27年度は小幅な上方修正も想定される。前回は25年度が2.7%上昇、26年度が1.8%上昇、27年度が2.0%上昇だった。

見通しのリスクバランスの変化に対する市場の関心も高い。前回リポートでは、物価見通しについて「おおむね上下にバランスしている」とした。上振れリスクに言及すれば、市場が見込む追加利上げのタイミングが前倒しになる可能性がある。

ブルームバーグのエコノミスト調査では、52人全員が今会合での政策維持を予測。追加利上げ時期については7月との予想が48%で最多となり、次いで4月と6月が17%で並んだ。一方、可能性として考えられる最も早い利上げのタイミングについては、58%が4月と回答した。

複数の関係者によると、日銀は根強い円安に伴う消費者物価の上振れやそれに伴う個人消費など景気への影響に警戒感を一段と強めている。政策判断で重視する基調的な物価上昇率が目標の2%に近づく中、一層の円安が今後の利上げペースを速める可能性もあるという。

ブルームバーグ・エコノミクスの見方

「注目点は、12月の利上げ後も円安が進んだことを受けて、植田和男総裁がより早期の追加利上げをにおわせるかどうかだ。だがその可能性は低い。総裁は円相場に関する質問には、為替管理は政府の所管であると強調してかわす可能性が高い」

木村太郎シニアエコノミスト

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他の注目点

  • 展望リポートの見通し期間の後半に、2%の物価安定目標が実現するとの見方も維持される見込み
  • トランプ米政権がパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長を刑事捜査の対象としたことに関し、世界の主要中央銀行はパウエル氏支持の共同声明を出した。日銀は参加せず、植田総裁が会見で見解を問われる可能性

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