全ての子どもの育ちと子育て家庭を支援する「こども誰でも通園制度」の創設

2026年4月から「こども誰でも通園制度」が本格的に実施される予定である。

「こども誰でも通園制度」とは、親の就労要件を問わず0歳6か月から満3歳未満の未就園児が月一定時間、保育所等の施設を利用できる新たな給付制度である。

そこで2026年4月からの本格実施へ向けて、「こども誰でも通園制度」の概要を整理し、その課題と展望について考察する。

こども誰でも通園制度とは

主にこども家庭庁が公表している「こども誰でも通園制度の実施に関する手引き」(以下「手引き」)をもとに、現時点での制度の概要をまとめる。

手引きによれば、「こども誰でも通園制度」は、0歳6か月から満3歳未満で、保育所等に通っていないこどもが対象となる。

利用にあたっては居住する市町村が認定を行い、月一定時間(2025年度は10時間)までの利用可能枠のなかで、就労要件を問わず保育所等に通園することができる。

利用者が施設に支払う利用料は、2025年度は1時間あたり300円を標準としつつ、施設が任意に設定してもよいことになっている。

本制度が実施される主な場所は、市町村が本制度の実施について認可を行った、保育所・認定こども園・小規模保育事業所・家庭的保育事業所・幼稚園・地域子育て支援拠点事業所・企業主導型保育事業所・認可外保育施設・児童発達支援センター等が想定されている。

施設の利用方法には、特定の事業所を定期的に利用する「定期利用」と、利用する事業所・月・曜日や時間を固定しない「柔軟利用」の2つのパターンがあり、どの利用パターンが可能かは各自治体と事業者の判断によって異なる。

こども誰でも通園制度の背景と目的

2023年12月22日に閣議決定された「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョン(はじめの100か月の育ちビジョン)」では、乳幼児期は生涯にわたるウェルビーング(身体的・精神的・社会的に幸せな状態)の基盤となる重要な時期であることが明確に宣言された。

一方で、少子化の進行等の社会的な変化を背景として、こども同士で育ちあう機会や、保護者以外のおとなと関わる機会、様々な社会文化や自然に触れる機会などが、家庭の環境によって左右されている現状があるとの懸念が示されている。

保育所等や子育て支援、地域社会等とつながることによって、全てのこどもと子育て家庭が格差なく、その育ちをより一層充実させる機会を保障することが必要だという。

「こども誰でも通園制度」もこうした考え方を背景として、親の就労の有無などにかかわらず「全てのこどもの育ちを応援し、こどもの良質な成育環境を整備する」ことをその目的として創設されている。

特に「こども誰でも通園制度」が対象とするような0~2歳の約6割は未就園児となっているが、この年齢は児童虐待による死亡事例が多い年齢でもある。

「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョン(はじめの100か月の育ちビジョン)」では、乳幼児期は保護者・養育者にとっても子育ての最初期であり、特に支援が必要であることが強調されている。

働き方やライフスタイルにかかわらず、このような時期の保護者を支え、孤立感・不安感の解消や育児負担の軽減などを図ることによって、全てのこどもの良質な成育環境を支援することも企図されている。

なお、親の就労の有無にかかわらず一時的に保育所等を利用できる仕組みとしては、既に「一時預かり事業」と呼ばれる仕組みがある。

この既存の「一時預かり事業」と「こども誰でも通園制度」の主な相違点は、図表1の通りであり、主に目的や権利性に違いがあるとされている。