(ブルームバーグ):日本銀行が22、23日に開く今年初の金融政策決定会合では、政策金利の維持が決まる公算が大きい。円安傾向が続く為替動向や衆院選後の政治情勢が、追加利上げのタイミングに影響する可能性がある。
日銀は昨年12月の会合で政策金利を0.5%程度から30年ぶりの高水準となる0.75%程度に引き上げたばかり。複数の関係者によると、利上げの経済・物価・金融面への影響を見極める段階にあり、今週の会合で政策金利を据え置く可能性が大きいという。
ブルームバーグがエコノミスト52人を対象に8-14日に行った調査によると、日銀の追加利上げは7月との予想が48%で最多となり、次いで4月と6月が17%で並んだ。一方、可能性として考えられる最も早い利上げのタイミングについては、58%が4月と回答した。
円安基調が続く為替動向が、利上げパス(経路)に与える影響は小さくない。複数の関係者によると、日銀は根強い円安に伴う消費者物価の上振れやそれに伴う個人消費など景気への影響に警戒感を一段と強めている。一層の円安が今後の利上げペースを速める可能性もあるという。
大和総研の熊谷亮丸副理事長は、今会合の焦点について「円安の急伸による物価の上振れリスクなどを日銀がどのように評価するかだ」とみる。対ドルで165円を超えると企業の価格転嫁行動が一段と積極化するとし、日銀は政策金利を中立金利に近づけ、「物価上昇圧力が過度に強まるリスクを回避することが適当だ」と語った。
片山さつき財務相は16日、円安について「急激な、ファンダメンタルズを反映しない動きには断固たる措置が取れる。これは介入のことだが、何の制約や制限はついていない」と踏み込んだ。政府による円買い介入への警戒感が強まる中、会合後の植田和男総裁会見での発言に市場は注目している。
衆院解散・総選挙
高市早苗首相は19日夕、通常国会召集日の23日に衆院を解散し、2月8日に総選挙を行うことを表明した。2年間に限って飲食料品の消費税を軽減税率の対象から外すと表明。政権が掲げる責任ある積極財政で、行き過ぎた緊縮志向と未来への投資不足を終わらせると宣言した。
大和証券の南健人シニアエコノミストは、衆院選でリフレ派的な政策への国民の信が得られれば、「物価動向に応じた早めの利上げが困難となる可能性もある」と指摘。その場合、円安と財政拡張的なインフレ圧力から、日銀の政策対応が遅れる「ビハインド・ザ・カーブの懸念が高まる」とみている。
マイナス圏の実質金利や昨年に続いて高水準が見込まれる賃上げ動向などを背景に、日銀は利上げ路線を継続するが、時期やペースに予断を持っていない。衆院選の結果を受けた高市政権と経済・財政政策の行方、為替や長期金利動向への思惑などが金融政策の先行き不透明感を強めている。
オックスフォード・エコノミクスの山口範大シニアエコノミストは、与党勝利なら政権のリフレ色が強まるとしつつ、「日銀の金融政策への介入を強めるとは考えていない」という。政策介入を強めればさらなる円安と長期金利上昇を招くと述べ、「緩やかなペースでの利上げは政権側から容認される」とみる。
展望リポート
会合では、四半期ごとに公表している経済・物価情勢の展望(展望リポート)を議論し、最新の見通しを示す。
関係者によると、物価高対応を中心とした政府の経済対策などを反映し、2025年度と26年度の成長率見通しを上方修正する見込み。消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)は、ガソリン税の旧暫定税率の廃止などが下押しに作用するものの、経済対策による需要押し上げ効果などを見込み、26、27年度は上方修正含みとみられる。
植田総裁会見では、トランプ米政権がパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長を刑事捜査の対象としたことに対する見解への関心も高い。パウエル氏を支持する世界の主要な中央銀行による共同声明に植田総裁は署名しなかった。
東短リサーチの加藤出チーフエコノミストは、日銀が声明に加わらなかったことで、「日本における中銀の独立性は低いことが改めてあらわになってしまった」と指摘。その上で、こうした日銀の対応は、中長期的にも円安やビハインド・ザ・カーブのリスクを高めてしまうとの見方を示した。
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