オンラインストアの代表格であるアマゾン・ドット・コムは今月、アマゾン・ブランドによる実店舗展開のビジョンを公表した。最大の注目点はその規模だ。シカゴ郊外に建設を予定する店舗は22万9000平方フィート(約2万1300平方メートル)で、典型的なウォルマートのスーパーセンターより3割広い。

分かりやすく言えば、アメリカン・フットボールのフィールド4面分に相当する。この巨大店舗でアマゾンは食料品や日用品を販売する計画だ。

アマゾンは過去にも実店舗を展開した。コンビニエンスストアの「アマゾン・ゴー」や書店、ギフトショップなどがそうだ。どれも非常に小さい規模だった。同社が2017年に買収した高級スーパー「ホール・フーズ・マーケット」でさえも、約4万平方フィートが典型的な広さだ。アマゾンは今回の戦略で、超大型店舗というコンセプトに初めて挑む。

規模以外の詳細はほとんど明らかになっていないが、アマゾンはこの店で約500人を雇用し、新たな店舗内テクノロジーを導入するほか、オンライン注文との連携も図る計画だという。

アマゾンの狙いはウォルマートやディスカウントチェーンのターゲットのように、顧客が食料品やその他商品をオンラインで注文し、近所の店で受け取れる仕組みを構築することだと考えられる。アマゾンは2017年、オンラインで注文した食料品を受け取れるキオスク型店舗を、地元シアトルで試験的に展開した。ただ、顧客が商品を手に取って確認できる売り場は併設しなかった。

10年にわたる試行錯誤とホール・フーズの買収にもかかわらず、アマゾンは店舗の立地という点で依然、ウォルマートやターゲットに後れを取っている。ウォルマートは、米人口の90%が同社店舗または傘下に置く会員制量販店サムズ・クラブの店舗から車で10マイル(約16キロメートル)圏内に住んでいると強調する。ターゲットの店舗数はホール・フーズの4倍に相当する。

顧客層の重なりも大きい。シカゴの市場調査会社、コンシューマー・インテリジェンス・リサーチ・パートナーズ(CIRP)によれば、アマゾンの顧客の90%以上がウォルマートでも買い物をしており、75%以上がターゲットも利用している。CIRPのブログはアマゾンの超大型店進出について「これは単なる実験にすぎないかもしれないが、実験が進むにつれ、ウォルマートに対するアマゾンの嫉妬が予想以上に強いことが見えてくる」と述べた。

アマゾンが中核ビジネスの成長を継続させるには、実店舗の攻略が不可欠となる。2020年時点でオンラインストアとホール・フーズからの売り上げは同社年間売上高の55%を占めていたが、25年にはそれが41%にまで低下したことが、ブルームバーグがまとめたアナリスト推計に示されている。

過去5年間にアマゾン全体の売上高増加をけん引してきたのは、利益率の高いクラウドコンピューティングと広告事業だった。米消費者によるオンライン支出の約40%はアマゾンが占めるが、全個人消費の約80%はいまだに実店舗で起きている。つまり、オンラインから引き出せる成長余地は限られている。

アマゾンは過去に試みた実店舗戦略から、どのような教訓を得たのだろうか。そのうちどれを今回の壮大な実験に生かすのだろうか。過去にアマゾン・ゴーのシカゴ店で働いていた人物から聞いたエピソードがある。

真冬に来店した顧客が、温かい飲み物や食べ物がないことにがっかりして、すぐ出て行ったという。アマゾンは無人レジ技術の革新性にばかり気を取られ、顧客が本当に必要とする商品を棚に置くことを軽視していたと、その人物は強調していた。

アマゾンによれば、今回のシカゴの大型店舗では調理済みの食品も販売する予定だ。冬にオープンするのであれば、温かい食べ物や飲み物を用意してくれることを願いたい。

原題:Amazon Supersizes Its Brick-and-Mortar Ambitions: Tech In Depth(抜粋)

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