中国では最近、「死了么(死んだのか?)」という名称のアプリが話題を呼び、アップルのApp Storeでも有料ランキングで首位となっている。価格は8元(約180円)で、毎日の生存確認を行うための大型の緑色のボタンと、万一の場合に第三者へ通知するための緊急連絡先機能を備える。

機能はそれだけだが、このアプリが提起する社会問題はネット上で大きな反響を呼んでいる。人民日報系の環球時報(グローバル・タイムズ)が週末に伝えた。

同紙によると、中国では2020年代末までに単身世帯が最大2億世帯に達する見通しだ。これには大都市で働く労働者や学生に加え、このアプリの主な利用層である高齢者も含まれる。単身世帯の増加や高齢者の孤立といった問題は世界的に広がっており、中国もその例外ではない。

かつては近所の人や町の親切な誰かが高齢者のもとを訪ね、政府の汚職疑惑などについて雑談したり、若者の変化を嘆いたりする光景があった。しかし、生活の多忙化や複雑化により、こうした人と人との基本的な関わりは失われつつある。あけすけな名称の同アプリは、感情面で扱いが難しいこの領域に踏み込んだ格好だ。

農村部から都市部への人口移動、かつての一人っ子政策、そして足元で急低下する婚姻率が重なり、中国は家族の分断という課題への対応を迫られる最前線に立っている。その一方で、デジタル技術につながった高齢者の割合が高いという側面もある。子どもが親に、決済アプリ「アリペイ(支付宝)」などを使えるよう、基本的な携帯電話を買い与えるケースが多いためだ。

この簡素な安否確認アプリは、本来は人や社会が担うべき行為が置き去りにされている現実を浮き彫りにする。世代を超えて日常的に保たれるべきつながりや橋渡しを、現代人は通知サービスに委ねつつある。

環球時報によれば、同アプリの開発者は人気拡大を受け、通知機能の改善や、メッセージ機能の追加、高齢者により配慮したサービスの検討など、拡充を進める考えを示している。名称の変更も検討しているという。中国では縁起の良い語感や語呂が好まれるため、現在の名称は特に違和感をもって受け止められている。

有料アプリのランキング上位には占い関連アプリも見られる。無料アプリ内でのアイテム課金が主流となる中、有料アプリは今やニッチな分野だが、こうしたアプリも高齢者に好まれそうだ。

原題:China’s Top Paid App Is for Checking on Grandma: Tech In Depth(抜粋)

--取材協力:Gao Yuan、Luz Ding.

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.