米オルタナティブ資産運用会社ブルー・アウル・キャピタルは、同社のプライベートクレジットファンドの一つから投資家が引き出せる資金額を大幅に引き上げる。先月に償還請求が殺到したことを受けたものだ。

規制当局への提出書類によれば、同社は「事業開発会社(BDC)」と呼ばれるプライベートクレジットファンド「ブルー・アウル・テクノロジー・インカム(OTIC)」の投資家に対し、純資産の最大17%に相当する資金の引き出しを認める。

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これは約6億8500万ドル(約1074億円)に相当し、これまで設定していた5%の四半期上限を大きく上回る。投資家からの株式買い付け期限も、12月31日から1月8日に変更した。同ファンドは非上場。

ブルー・アウルの共同創業者、クレイグ・パッカー氏はインタビューで、「5%を超える償還に直面した場合、ファンドは通常、プロラタ方式で対応するが、今回は流動性24億ドルの柔軟性があるため、投資家を優先する」と語った。

投資家の急激な資金引き揚げは、かつて人気を集めた資産クラスであるプライベートクレジットを巡る不安の高まりを示すこれまでで最も極端な兆候の一つだ。

プライベートクレジットは一連の損失やリターン低下への見通し、規制当局や政策担当者による監視強化が重なり、注目の対象となっている。個人投資家向けにプライベートクレジットを組成する代表的な仕組みであるBDCは特に大きな打撃を受けている。

ゴールドマン・サックス・グループのアナリストによると、ブルー・アウルのOTICを含む非上場BDCでは、2025年10-12月(第4四半期)の平均償還率が純資産の5%に達し、過去の平均の約2%から上昇した。

業界を詳細に追跡する投資銀行ロバート・A・スタンガーによれば、運用資産が10億ドルを超えるファンドからの償還額は25年10-12月期に前期比200%増となった。

一方、事情に詳しい関係者の話では、ブルー・アウル最大のBDC「ブルー・アウル・クレジット・インカム(OCIC)では、同四半期に引き揚げられた資金は約5%と、業界平均と同水準だった。規制当局への提出書類に基づけば、総額は約9億6600万ドルに上る。

関係者はOTICが急激な償還に見舞われた背景として、投資家層の中で大きな比重を占めるアジアの富裕層からの引き揚げ要請があったことを指摘した。

パッカー氏はOTICについて、これまで投資家からの全ての償還請求に応じてきたとした上で、OTICが保有する24億ドルの利用可能な流動性には、12億ドルの流動性の高いローンが含まれると説明した。

BDCの仕組みをいち早く採用した資産運用会社の一つであるブルー・アウルは現在、監視の目にさらされている。昨年11月には、非上場と上場済みの二つのプライベートクレジットファンドの合併計画を撤回。この計画では非上場ファンドの投資家が約20%の損失を被る可能性があった。

非上場BDCは、投資家の流動性ニーズと、投資対象の多くが非流動的であるという特性のバランスを取るため、四半期ごとに資金引き出しの機会を設けている。運用会社は通常、各四半期に認める償還額について、ファンドの純資産価値の一定割合を上限として設定する。投資家はファンドを自由に売買できないため、償還の動きは投資家心理を測る試金石となる。

株式と同様に取引所で売買できる上場BDCも圧力にさらされており、米S&P500種株価指数と比較した25年のパフォーマンスは20年以来最悪の年となった。過去数カ月は2桁台のディスカウントで取引される例も複数あり、売却する投資家がファンドの投資資産の簿価を下回る金額しか受け取れない状況を意味する。

これに対し、非上場BDCから資金を引き揚げる投資家は、簿価の全額を受け取ることができる。

原題:Blue Owl BDC Allows 17% Redemptions as Investors Storm Exit (1)(抜粋)

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