(ブルームバーグ):米国によるベネズエラでの軍事作戦は、マドゥロ大統領の拘束と米国への移送といった衝撃的な出来事で国際社会に激震が走った。
ロシアや中国、ブラジルといったベネズエラの友好国が米国の行為を厳しく非難する一方、アルゼンチンなど右派政権率いる近隣諸国は歓迎を示している。西側諸国は、軍事力行使という手法への評価に慎重な姿勢を見せつつも、マドゥロ政権の正当性欠如を指摘し、民主主義の回復に期待を示している。
地域情勢の激変を前に、世界各国は警戒と期待が入り交じる異例の事態に直面している。
ベネズエラの友好国は「深い衝撃」
- 中国:外務省報道官が3日遅く、「深い衝撃」を受けたと表明。「主権国家の大統領に対する露骨な武力行使」を強く非難し、米国の「覇権的行為」と断じた。2日にカラカスを訪問したばかりの中南米担当特別代表がマドゥロ氏と会談していた直後の出来事であり、不意を突かれた格好だ。
- ロシア:外務省は声明で「深い懸念と非難」を表明。ベネズエラの主権侵害であるとして、コロンビアやメキシコなどと歩調を合わせ、国連安全保障理事会の緊急会合開催を支持した。
- キューバ:ディアスカネル大統領は「犯罪的攻撃」と呼び、国際社会による「緊急」の対応を求めた。
歓迎する右派と、介入を危惧する左派
中南米地域では、各国の政治的スタンスによって反応が鮮明に分かれた
- アルゼンチンとエクアドル:右派であるアルゼンチンのミレイ大統領はX(旧ツイッター)に自身のスローガン「自由万歳」を投稿し、事実上の歓迎を表明。エクアドルのノボア大統領も、大陸全土で「チャビスタ(チャベス派)の麻薬犯罪者」の構造が崩壊するとの期待を示した。
- ブラジルとコロンビア:ブラジルのルラ大統領は「最悪の介入を想起させる」と述べ、平和地帯としての地位を損なうと警告。コロンビアのペトロ大統領も「主権侵害」として国連での協議を要求している。
欧州と日本:慎重な姿勢と民主主義への期待
欧州や日本は、軍事力の行使という手法への言及には慎重な態度を見せながらも、マドゥロ政権の正当性欠如を指摘する。
- 欧州連合(EU):カラス外交安全保障上級代表は、マドゥロ氏の「正当性の欠如」を再確認しつつ、事態のエスカレーションを避けた「平和的な移行」を求めた。
- 英国:スターマー首相は英メディアとのインタビューで、米の作戦への英国の関与を否定。米国の行動を非難するかとの質問に「事実を確認したい」と答え、トランプ大統領と直接協議する意向を示した。
- 日本:高市早苗首相は4日、邦人の安全確保を最優先に掲げつつ、関係国と緊密に連携する方針をSNSで表明。日本政府としては「一刻も早くベネズエラにおける民主主義が回復されることの重要性を訴えてきた」と指摘した。外務省は「民主主義の回復および情勢の安定化」に向けた外交努力を強調している。
地域全体への「移民の波」に警戒感
15カ国・地域で構成されるカリブ共同体(カリコム)は緊急会合を開き、ベネズエラの不安定化が引き起こす「移民の波」が、小規模な島しょ国を圧倒しかねないとの懸念について協議した。ベネズエラの混乱は単なる政権交代にとどまらず、近隣諸国の社会インフラに深刻な影響を与える恐れがある。
--取材協力:堀内亮、西前明子.
もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.