経営危機にあった米IBMを立て直し、テクノロジー業界の主導的企業へ再生させたルイス・ガースナー氏が27日に死去した。83歳だった。

同社のアービンド・クリシュナ会長兼最高経営責任者(CEO)は28日、従業員宛ての電子メールでガースナー氏の死去を発表したが、死因は明らかにしていない。

「ビッグブルー」として知られるIBMでガースナー氏が会長兼CEOを務めた9年間は、企業経営のケーススタディとしてしばしば取り上げられている。

1993年4月1日、ガースナー氏はIBM初の社外出身トップとしてCEOに就任した。当時の同社は、パソコンやメインフレームで圧倒的な地位を築いた後、破綻か分割かの選択を迫られていた。

ガースナー氏はIBMの戦略を、ハードウエア製造中心から事業サービス重視へと転換。コストを大幅に削減し、同社が保有していた不動産や美術品コレクションなど、収益性の低い資産を売却した。また従業員約30万人のうち3万5000人を解雇したが、これは終身雇用の文化に慣れた組織にとって大きな転換だった。

最大の改革は、パソコンから基本ソフト(OS)、ソフトウエアに至るまで、IBM製品同士でしか動作しない抱き合わせ販売の企業文化を廃したことだ。同氏が競争力に欠けると判断した製品は相次いで整理された。マイクロソフトの「ウィンドウズ」に対抗する目的で開発されたものの、顧客の支持を得られなかった「OS/2」も打ち切った。

クリシュナ氏は「当時のガースナー氏のリーダーシップが会社を作り替えた。過去を振り返るのではなく、顧客が次に何を必要とするかに徹底して焦点を当てた結果だ」と述べた。

原題:Louis Gerstner, CEO Credited With Turning Around IBM, Dies at 83(抜粋)

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