(ブルームバーグ):中国人民銀行(中央銀行)は24日、緩和的な金融政策スタンスを再確認する一方、依然として過度な刺激策には慎重な姿勢を示した。目先の対症療法よりも長期的な安定確保を重視する方向への転換を改めて印象付けた。
人民銀は10-12月(第4四半期)の金融政策委員会会合後に発表した声明で、借り入れコストが引き続き低水準にとどまるよう誘導していくと説明。さらに、「クロスシクリカル(跨周期)」的な政策を強化すると改めて表明し、短期的な変動にとらわれず、構造的な不均衡を生みかねない過度の刺激策を避ける方針を示唆した。
今回の声明では金利や預金準備率の引き下げに触れなかったものの、人民銀は複数の政策手段を活用する考えだ。12月上旬に開かれた中央経済工作会議後の発表ではそうした措置に言及しており、大幅な緩和策に踏み切ることに慎重な人民銀の姿勢がうかがえる。
ゴールドマン・サックス・グループのエコノミスト、シンチュアン・チェン氏は25日のリポートで、声明の文言は「緩和策を巡り、先手を打つよりも事後対応を重視する姿勢を示している」と指摘。文言の変化は「より慎重かつ柔軟な緩和アプローチを示唆している」と分析した。
中国では内需低迷が深刻化しており、11月の小売売上高は新型コロナウイルス禍を除けば最も小さな伸びにとどまった。固定資産投資もインフラプロジェクト向け資金不足が響き、このままいけば1998年までさかのぼる統計で初めて年間ベースで減少する見通しだ。
人民銀は、国内外の状況の変化を踏まえ、政策実行の「強さ、ペース、タイミング」を見極めるとした。また、オーバーシュートのリスクを抑えるため、合理的で均衡の取れた水準での人民元相場の安定を維持する方針を改めて強調した。
人民銀は今年に入り慎重な姿勢を維持しており、より積極的な利下げを予想していたエコノミストを度々失望させてきた。こうした姿勢の背景には懸念の強まりがあり、人民銀は市中銀行の利ざや縮小を防ぎ、将来の景気悪化に備えて政策余地を温存しようとしている。
原題:China’s Central Bank Signals Steady, Cautious Support for Growth(抜粋)
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