米投資会社ジェネラル・アトランティックは、メキシコのサッカー事業に数億ドルを投じる。来年は国際サッカー連盟(FIFA)ワールドカップ(W杯)が米国とカナダ、メキシコの3カ国で開催される。

同社は、メキシコ市にある8万8000人収容のスタジアム「エスタディオ・アステカ」を所有するオジャマニ・グループの49%株式を取得することで合意した。両社が共同資料で発表した。エスタディオ・アステカはW杯開幕戦の会場。

オジャマニは国内プロサッカー最上位リーグ、リーガMXの強豪チーム、クラブ・アメリカも傘下に置く。

ジェネラルとオジャマニは共同事業体「グルポ・アギラス」を新たに設立する。企業価値は4億9000万ドル(約765億円)に上るという。ジェネラルの持ち分は約2億4000万ドル相当。

Photographer: Hector Vivas/Getty Images

クラブ・アメリカはメキシコ国内および米国に大規模なファン基盤を持つほか、メキシコ証券取引所にも上場している。

イングランド・プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッド(マンU)やイタリア・セリアAのユヴェントスと並ぶ、数少ない上場サッカークラブの1つだ。

オジャマニはカジノ18カ所を運営するゲーミング部門を有しているほか、出版事業も手がけている。

リーガMXでは、1つの企業グループが複数チームを保有できないとの方針がオーナー会議で合意された。そのため、メキシコのサッカー市場に投資家の関心が高まっている。

現在、グルポ・サリナスを含む3つの企業グループが複数のチームを保有しており、制裁を避けるために売却を迫られることになる。

リーガMXのミケル・アリオラ会長

リーガMXのミケル・アリオラ会長は11月のインタビューで、「新たな外国資本の流入によって、複数保有の解消を本格的に前進させることができる」と述べ、「メキシコのリーグは現在、米国の投資家にとって極めて魅力的だ」とアピールした。

メキシコのサッカークラブへの投資は、米国で新たにプロサッカーリーグのフランチャイズに参入するよりも安価だ。その上、米国、メキシコ両国にすでにファン基盤があるという利点もある。

米メジャーリーグサッカー(MLS)の記録によれば、新しいクラブであるシャーロットFCとサンディエゴFCの参入費用は、それぞれ3億2500万ドルと5億ドルだった。欧州主要リーグの1部クラブとなると、10億ドルを大きく超える。

アリオラ会長は、米国でヒスパニック層以外にもサッカー人気が広がり、26年W杯の熱狂が大会後も続くにつれ、メキシコのクラブに対する需要はさらに高まると予想。「メキシコでチームを探している米国の投資ファンドが10社ある」と明らかにしていた。

原題:US Investor Pumps Millions in Mexico Soccer Before World Cup (2)(抜粋)

--取材協力:Amy Stillman、Carolina Millan.

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