財務省が25日に実施する2年利付国債入札を巡り、十分な需要が集まるかどうか市場で警戒されている。為替の円安とインフレを抑えるため日本銀行が早期利上げに動くとの観測や、それに伴う金利先高観が背景にある。

日銀は19日に約1年ぶりとなる利上げに踏み切り、政策金利を30年ぶりの水準である0.75%に引き上げた。利上げは通常、通貨高要因となるが、今回は会合後の植田和男総裁の記者会見で今後の利上げ時期や余地に関する明確な示唆がなく、円安が進んだ。

債券市場で金融政策動向を反映する2年債利回りは1996年以来の高水準に上昇。日銀がインフレ抑制で後手に回るビハインド・ザ・カーブに陥り、結局はより高い水準への利上げを迫られるとの見方が強まった。足元では日本当局による為替介入への警戒感もあり円安・金利高は一服しているが、金利先高観が根強い中、入札は日銀の政策姿勢に対する市場の評価を測る手がかりとなる。

三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは、日銀の利上げが遅れることへの懸念でインフレ期待やターミナルレート(利上げ到達点)の予想が上昇しているとし、「入札にはやや不安がある」と語る。

市場のインフレ期待を表すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は22日に1.9%に接近して過去最高を更新。市場が想定する利上げ到達点を示す指標は1.6%近辺に上昇した。稲留氏は現在1.5回程度の利上げ織り込みが2回を上回ってくると、2年債利回りが現状の1%近辺にとどまるのは難しくなるとの見方を示す。

入札の翌日に来年度予算案の閣議決定や国債発行計画の公表が控えることも警戒感につながっている。財務省が12日に開いた国債市場特別参加者(プライマリーディーラー、PD)会合では、参加者から来年度の発行計画について、超長期債は減額してほしいとの要望が出る一方、短中期や長期債は増額余地があるとの意見が出た。

2年債は増額の可能性が高く、SMBC日興証券の田未来シニア金利ストラテジストは「買った後すぐに含み損を抱える可能性もあり、正直、買いたくないタイミングだ」とみる。

今回入札での発行額は2兆8000億円程度と前月11月から1000億円増額される。需要の強さを示す応札倍率の過去12カ月平均は3.65倍、前回は3.53倍だった。これらの数字を上回るかどうかが入札の好不調を示す一つの目安になる。

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