金スポット価格は24日、ほぼ変わらずで推移している。前日まで3営業日続伸していたことで利益確定の動きが広がった。アジア時間には一時、史上初の1オンス=4500ドル台を付けた。

ニューヨーク時間の午前には、薄商いの中で0.8%下げる場面もあった。アジア時間帯には4525.77ドルと最高値を記録した。

年末が近づく中、一部のトレーダーは利益確定に動き始めている。それでもスポット価格の年初からの上昇率は約70%に上る。

テクニカル指標もこの日の売りの根拠だ。相対力指数(RSI、14日間)は70超と、買われ過ぎを通常示唆する水準に達した。相場が一服あるいは下落する可能性が意識された。

 

米国が石油タンカーを封鎖したベネズエラを巡り摩擦が激しくなっており、安全資産としての金の魅力が高まっている。また、トレーダーは米金融当局が3会合連続の利下げに続き、来年も政策金利を引き下げると予測している。これは金利が付かない金にとって追い風となり得る。

金と銀はいずれも、このままいけば1979年以降で最高の年間パフォーマンスを記録する。中央銀行による旺盛な買い入れや上場投資信託(ETF)への資金流入によって貴金属の値上がりが支えられている。ワールド・ゴールド・カウンシルのデータによれば、金に裏付けられたETFの総保有量は5月を除き今年の全ての月で増加した。

世界貿易を再編しようとするトランプ米政権の措置や、米連邦準備制度理事会(FRB)の独立性を脅かす動きは、今年の強気相場に拍車を掛けた。また、いわゆる「ディベースメント取引(通貨価値下落に備えた売買)」も一因で、膨れ上がる債務水準によって価値が時間の経過とともに損なわれるとの懸念から、国債やその通貨建て資産から撤退する動きが出ている。

シドニーを拠点とする貴金属販売業者ガーディアン・ボールツのビジネス開発マネジャー、ジョン・フィーニー氏は、「金と銀にとって現在のけん引役は持続的な実物需要とマクロリスクに対する感応度の再燃だ」と指摘。「勢いが抑制されるどころか、むしろ強まっているのが見て取れる。これは単なる投機的な熱狂ではなく、根強い確信があることを示唆している」と述べた。

こうした貴金属需要の強さを裏付けるように、金価格は上昇が行き過ぎと見られた10月の前回のピーク(1オンス=4381ドル)から下落した後、急速に反発。ゴールドマン・サックス・グループは来年も価格上昇が続くと予想しており、上振れリスクを伴う基本シナリオとして同4900ドルを提示している。

銀も最高値

23日に初めて1オンス=70ドルを超えたばかりの銀は一時1.8%高の72.70ドルと、最高値をさらに更新した。銀の値上がりは金よりもさらに目覚ましく、直近の上昇は投機的な資金流入に加え、10月に起きた歴史的なショートスクイーズ(踏み上げ)を経て主要な取引拠点で長引く供給の混乱に支えられている。

それ以来、ロンドンの保管庫には相当な流入も見られるが、世界で利用可能な銀の多くはなおニューヨークにとどまっている。重要鉱物の輸入が国家安全保障を脅かすかどうかを巡る米商務省の調査結果をトレーダーらは待っており、結果によっては関税や貿易制限につながる可能性もある。

フィーニー氏は「レバレッジによって主導された過去の銀のラリーとは違い、今回の動きは実需に裏打ちされており、それが主要な価格の節目における市場の動きを変えている」と分析。「現時点でこのトレンドの終わりは見えない」と話した。

原題:Gold Trades Steady as Traders Book Profits After Rally to Record(抜粋)

(第5段落以降に情報を追加して更新します)

--取材協力:Thomas Biesheuvel、Kai Schultz.

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2025 Bloomberg L.P.