米シティグループは日本での投資銀行部門の人員を2026年前半をめどに3割程度増やす方針だ。日本企業による合併・買収(M&A)が活況を呈する中、人員体制を強化する。

日本でのシティ副会長を務める福田祐夫氏らがブルームバーグとのインタビューで明らかにした。シティグループ証券で同部門の人員を15%拡大するとしていた従来計画は年内に完了し、新たな目標を設定した。外部採用に加え、新卒採用も強化する。具体的な人数についての言及は控えた。

福田氏は「人材獲得競争が激しくなっており、迅速に採用活動を進める必要がある」として、26年前半に陣容拡大を終えたい意向を示した。同証の従業員数は24年末時点で約900人。

ごく最近まで、日本は企業の持ち合い株式やメインバンク制に守られた保守的な市場だったが、ここ1、2年で様変わりしている。従来タブーとされてきた「同意なき買収」が急速に市民権を得たことに加え、不名誉とされた企業の株式市場からの退出も今ではトヨタグループのような日本を代表する企業においても検討されるようになっている。

シティグループ証券・投資銀行部門の清田亮共同部門長はこうした環境変化を踏まえ「資金調達の提案機会はもっともっと増やしていける」と指摘。日本を近代国家へと導いた歴史の重要な転換点である「明治維新」と比較できるような「日本市場の大転換期だ」との認識を示した。

ブルームバーグのデータによると、25年の日本関連M&Aの総額は22日時点で54兆3400億円と、すでに前年(31兆5000億円)を上回り、記録の残る1998年以降で最高を更新している。

シティ証は10月、内部から昇格した長坂泰治氏と野村証券で執行役員グローバルM&A統括を務めた清田氏の2人を投資銀行共同部門長に起用した。旧日興シティグループ証券が一部事業を三井住友フィナンシャルグループに譲渡し、シティグループ証券として09年に発足して以来、今年の投資銀行部門の収益は過去最高を計上する見込みだ。

長坂氏は日本のM&A案件の大型化が進んでいることから「海外投資家、海外資金の呼び込み余地が拡大している」と指摘。M&Aを起点に株式・債券資本市場業務やレバレッジローン、為替業務への収益波及効果が広がり、より高い水準での収益達成が期待できると述べた。

日本市場の活況を背景に、シティ証以外の外資系金融機関でも投資銀行部門の強化と人材採用を急いでいる。UBSは7月、24年末比で5割の増員目標を発表。ゴールドマン・サックス証券は今月、M&A助言業務の運営体制を刷新した。ドイツ証券も人員増を計画している。

ブルームバーグのデータによると、シティ証の25年の日本関連M&A助言ランキングは22日時点で10位、日本株・エクイティーリンク債の引き受けでは11位となっている。

26年の日本市場の見通しについて清田氏は「外部的要因やさまざまな圧力もあるなかで、企業がコーポレートアクションを取って行かざるを得ない」として、引き続き活況が続くとみている。

日本銀行が19日、0.75%への利上げを決定したことで「買い手は金利を払った上で投資として適正かどうかを見てくる」と言うが、案件が大きく減速する要因にはならないとの見方を示した。

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