米国最大の送電網運営会社PJMインターコネクションが実施した容量市場オークションの落札価格が再び過去最高を更新し、2027年度に利用者が負担する電力コストが膨らむ見通しとなった。これを受け、同社に負担軽減を求める声が高まっている。

PJMによると、ニュージャージー州からシカゴにかけての地域で2027年度に家庭・企業が負担する電力コストは過去最大の164億ドル(約2兆5500億円)となる。PJMの送電網は全米人口の約5分の1を抱える13州をカバーしている。

容量市場オークションでは、発電事業者が送電網向けに稼働可能な状態を維持する対価として受け取る額を決定する。17日に公表された結果によると、支払いの基準となる日次価格は1メガワット時当たり329.17ドルから333.44ドルに上昇した。23年度には同29ドルまで下がっていた。

慈善団体アーノルド・ベンチャーズのエネルギー・許認可担当インフラディレクター、ダニエル・パルケン氏は「PJMにかかる圧力は極めて大きい。市民の怒りは高まっている」と語った。

Photographer: Brian Kaiser/Bloomberg

容量市場オークションの落札価格は3年連続で過去最高を更新した。容量市場はアフォーダビリティー(暮らし向き)を巡る全米の議論の焦点となりつつある。PJMの管轄区域内のバージニア州とニュージャージー州では、電力料金引き下げを掲げた民主党候補が勝利した。

メリーランド州議会議員のローリグ・チャークーディアン氏は電子メールで、「今回のオークションは、生活が苦しい利用者から、落札価格に関係なく稼働し続ける既存事業者への富の移転にほかならない」と指摘。「実に腹立たしい。こうなる必要はなかった」と述べた。

原題:Pressure Mounts to Fix Key US Grid as Costs Hit New Highs(抜粋)

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