トランプ米大統領の支持層は、ベネズエラやコロンビア沖での麻薬密輸の疑いがある船舶への攻撃をおおむね支持している。これは、トランプ氏がベネズエラのマドゥロ大統領に対する圧力をさらに強める政治的余地があることを示唆している。

世論調査では、90人余りが死亡した一連の攻撃を巡り、トランプ氏は幅広い支持を得ていることが示されている。カリブ海での米軍の展開をここ数十年で最大規模に引き上げたトランプ氏は、地上攻撃の可能性も含めた作戦拡大を示唆している。

トランプ氏は16日、ベネズエラを出入りする「制裁対象となっている全ての石油タンカーの完全かつ全面的な封鎖」を命じるとSNSに投稿。ベネズエラが「かつてわれわれから盗んだ」石油や土地、その他の資産を米国に返還するまで、軍備増強を続けるとの考えを示した。

こうした動きは、トランプ氏が麻薬流入阻止を生死を分ける取り組みと位置付ける中で、MAGA(Make America Great Again=米国を再び偉大に)運動の著名な支持者の一部から上がる批判を意に介さない姿勢を浮き彫りにしている。トランプ氏はマドゥロ大統領の排除も辞さない構えだが、この方針に支持層がどこまでついてくるかは不透明だ。

Photographer: Tom Brenner/Getty Images

世論調査では、トランプ氏が所属する共和党内で強い支持が示されている。12月初めのロイター/イプソスの世論調査によると、共和党支持者の3分の2が事前承認なしでの麻薬密輸船攻撃をおおむね支持。CBS/ユーガブの調査では、回答者の53%が麻薬密輸船への攻撃を支持した。

共和党の政治戦略家、マット・テリル氏は、「MAGA支持層は間違いなくトランプ大統領の使命と歩調を合わせてきた」と指摘。テリル氏は2016年大統領選時に、現米国務長官のマルコ・ルビオ氏の陣営で要職を務めた。

トランプ氏はベネズエラでの作戦を新たな戦争ではなく、「集中的な作戦」であり、「この地域で国家安全保障上極めて重要とされる正規の麻薬対策」と捉えているようだと、テリル氏は述べた。

一方、スティーブ・バノン氏やタッカー・カールソン氏など右派の論客らは、通常は強固な支持者として知られるが、カリブ海での行動については誤った方向への動きであり、トランプ氏の政治理念と一致しないと批判している。長年の盟友であるマージョリー・テイラー・グリーン下院議員も、国内の優先課題より外交に注力している点に疑問を呈している。

軍事行動をさらに拡大すれば、反発が強まるリスクもある。最近の世論調査によると、保守層の約53%はベネズエラで軍事行動を行うには議会の承認が必要だと回答。11月下旬に実施されたCBSニュースの調査では、回答者の76%が、トランプ政権はベネズエラでの軍事行動に関する米国の立場をまだ明確に説明していないと考えていると答えた。

原題:MAGA Support Clears the Way for More Pressure in Caribbean (2)(抜粋)

--取材協力:Eric Martin.

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