(ブルームバーグ):ロシア中央銀行は、凍結された資産の扱いを巡り、欧州の決済機関ユーロクリアに対してモスクワで法的措置をとる方針だ。欧州連合(EU)がこの資産を利用すれば、世界的な報復キャンペーンに乗り出すとどう喝した。
ロシア中銀は12日、自らが預けた「資金や証券の処理を不可能にするユーロクリアの違法行為」について、モスクワ仲裁裁判所に提訴すると発表した。
また、別の発表文で同中銀は、欧州委員会がロシアの凍結資産を無断で使用する場合、「国内外の裁判所や国際機関を含む、法的能力を持つ利用可能な全ての場所」で争うと警告。さらに、世界中のあらゆる国で「判決の執行」を求めるという。
インタファクス通信が当局の情報として報じたところによれば、ロシアは凍結資産の全額に加え、逸失利益も含めた額の賠償を請求する方針。
EUは、2022年のウクライナ全面侵攻を受けて域内で凍結した約2100億ユーロ(約38兆4200億円)相当のロシア政府系資産について、長期凍結を可能にする法案を12日に承認する見通し。資産の大半はユーロクリアに保管されており、同機関を抱えるベルギーは、ウクライナ向け融資の担保としてこの資産を利用するEU案に抵抗している。
ロシア中銀の発表は、欧州当局者に圧力を強める狙いがある。欧州では、ロシア政府資産をウクライナ支援に活用することによる金融面や法的な影響に神経質になっている当局者が既に多くいる。ロシア企業は外国企業との係争をまず国内の裁判所に持ち込み、有利な判決を得てから、外国に執行を求める例が多い。
原題:Russia Says It’s Suing Euroclear in Moscow on Frozen Assets (1)(抜粋)
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