(ブルームバーグ):スイスの銀行UBSグループの株価が12日急伸し、2008年序盤以来の高値を付けた。影響力を持つ一部議員が、スイス政府が同行に課そうとしている資本要件の緩和案を提示したことが材料となった。
有力議員らが示した提案には、スイス政府が構想する追加的な資本要件を満たすために、UBSがその他ティア1(AT1)債を株式の代わりに用いることを認める内容が盛り込まれている。
また、資本額の計算で、同社が保有するソフトウエアや繰り延べ税金資産のような無形資本項目の一部を引き続き算入できるようにする案も示された。一方で、投資銀行部門の拡大に上限を設ける規定も含まれている。
UBS株は一時5%上昇し、2008年2月以来の高値を付けた。
今回の案は、ケラーズッター財務相が主導する資本規制強化策を巡る政治的な行き詰まりを打開する可能性がある。同強化策はUBSにとって最大260億ドル(約4兆1000億円)の追加資本負担を意味する可能性があり、スイス議会上下両院で行き過ぎとの批判が出ていた。

UBSの株価には、計画中の資本改革が大きな重荷となってきた。同行は、改革が全面的に実施されれば、投資家への還元を引き下げる必要が生じる可能性を示唆している。
フォントベルのアナリスト、アンドレアス・ヴェンディッティ氏は「これまでテーブルに載っていたのはUBSにとって最悪のシナリオだった」が、これが実現しないことが明確になれば「状況は大きく変わる」と述べた。
ケラーズッター財務相は、厳格な規制はスイスの銀行産業の強靱(きょうじん)性を維持し、3年前のクレディ・スイスのような国家を脅かす事態を二度と招かないために必要だと主張している。
一方、政治家や経済界の指導者、さらにUBS自身は、こうした改革がスイス最大の銀行である同行の競争力を損ない、スイス経済にもマイナスとなると警鐘を鳴らしていた。
原題:UBS Jumps to 17-Year High as Lawmakers Float Capital Compromise(抜粋)
(第6、7段落を追加します)
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