米ホームセンター最大手ホーム・デポは9日、来期(2026年2月-27年1月)の既存店売上高が前期比横ばいから2%増にとどまるとの暫定見通しを示した。ブルームバーグがまとめたアナリストの予想平均を下回る数値となり、同社が住宅市場の短期的な回復を見込んでいないことを示唆した。

同社の既存店売上高は、ホームセンター業界における主要な先行指標と見られている。総売上高の成長見通しも市場予想を下回った。

これを受けた9日のニューヨーク株式市場で同社株は1.3%安で取引を終えた。

高止まりする米国の金利は住宅市場の重しとなり、同社の業績にも逆風となる。消費者は高額な買い物やローンを伴うリフォーム案件を手控え、住宅購入の意欲も低い。住宅ローン金利は1年前から低下したが、生活費の上昇を背景に消費者の慎重姿勢は続く。依然として住宅価格は多くの人の手に届かないほど高い。

「26年を見据えると、住宅市況が反転する明確なきっかけはまだ見えておらず、こうした圧力はまだ続くと見ている」とリチャード・マクフェイル最高財務責任者(CFO)はニューヨークで開かれた投資家向けイベントで述べた。

同社は政府や民間企業と連携して、住宅関連の取り組みを進めているが、詳細は明らかにされていない。経営陣によれば、23年から積み上がってきたリフォーム需要は今後の成長の原動力になる見通しだ。

同社は、住宅市場や消費の回復を前提とした「市場回復シナリオ」も示している。実現すれば既存店売上高で4-5%増を見込むという。

現在、同社は従業員や店舗運営、専門業者向けサービスへの投資を進めている。短期的には年間15-20店の出店を計画している。長期的には住宅の老朽化や供給不足などの構造的要因を理由に成長に自信を示す。

決算では、期待された需要回復が示されることなく同社株は下落、年初から9日終値までの下げ率は11%となった。この間、S&P500種株価指数は16%上昇した。だが、同じく小売りチェーンを展開するウォルマートなどは厳しい環境下でも成長を続ける。

業績の鈍化が進む中で、ホーム・デポはオンライン販売の拡充や、DIY顧客よりも支出額が大きい専門業者向けビジネスの拡大に注力し、25年度の業績見通しは据え置いた。

原題:Home Depot Warns That Housing Pressures Will Persist Next Year(抜粋)

--取材協力:Subrat Patnaik、Lindsay Blakely.

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