米電気自動車(EV)メーカー、テスラの最高経営責任者(CEO)、イーロン・マスク氏は、同社をロボティクスと人工知能(AI)の企業へ変革しようと意欲を示す。しかしモルガン・スタンレーは、同社株がそうした材料をすでに織り込み「割高水準」にあると指摘し、投資判断を「イコールウエート(中立)」に引き下げた。

現在、テスラ株の株価収益率(PER)は、今後12カ月の予想1株利益(EPS)の約210倍。S&P500種株価指数構成銘柄ではワーナー・ブラザース・ディスカバリーの220倍に次ぐ2位で、3位はパランティア・テクノロジーズの186倍だ。

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アダム・ジョナス氏からテスラ株の担当を引き継いだアンドリュー・パーココ氏は、来年の相場環境について「単なる自動車メーカーでないことは広く理解されているが、不安定な展開を予想する」とリポートに記した。業績予想に下振れリスクがあり、自動車以外の事業の材料は株価に織り込み済みだと説明した。

ブルームバーグの集計データによれば、ジョナス氏は23年6月から投資判断を「オーバーウエート(強気)」としていた。今回、パーココ氏は同社株の目標株価を425ドルとした。アナリストの平均目標株価は388ドルで、投資判断は「買い」が28人、「中立」が19人、「売り」が16人だ。

パーココ氏は、テスラがヒト型ロボット分野を主導する立ち位置にあり、同社の「オプティマス」プロジェクトには1株当たり60ドルの価値があると評価。半面、来年の北米でのEV販売台数は、業界全体の低迷もあって12%減を予想する。

今年のテスラ株は、マスク氏が自動運転やヒト型ロボットなどのAIプロジェクトを強調してきたことで、利益減の影響をそれほど受けていない。しかし、株価のボラティリティーは高く、年初来の上昇率は約10%と、24年の63%、23年の102%を下回る。S&P500指数は年初から16%超上昇している。

原題:Tesla’s Sky High Valuation Prompts Morgan Stanley to Cut Rating(抜粋)

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