フランスは増加する輸入品から自国の食品産業を守り、輸出を強化する戦略の策定を急いでいる。同国は農産物貿易でほぼ半世紀ぶりに赤字に陥る見通しだ。

ジュヌバール農業・食料相は8日、政府が2026年半ばに国家計画の策定を目指していると述べた。農業向けの「ソブリン基金」の創設に加え、輸入品が欧州連合(EU)基準を順守しているかを確認する検査部隊を導入したい考えも示した。

ジュヌバール氏はパリ郊外ランジスにある巨大な食品卸売市場を視察した際、「農業を巡る戦いは日に日に脅威が増している。今こそ行動すべきだ」と語った。また、業界は気候変動のほか、ロシアやEU、米国、中国が進める有害な政策など多くの課題に直面していると指摘した。

欧州最大の農業国とされてきたフランスだが、食品の輸入が増える一方で輸出は2015年以降、20%減少。世界各国を支えてきたワインや穀物の輸出が減っており、今年は農産物の貿易収支が1977年以来初めて赤字になる可能性があるとジュヌバール氏は述べた。

全国農産品・食品振興センター(CNPA)のデータによると、24年の農産物貿易収支は59億2000万ユーロ(約1兆700億円)と、15年比で43%減少。今年1-8月期はわずか3億5000万ユーロと、前年同期の45億ユーロから93%減り、政府関係者にとって一段の懸念材料となっている。

原題:France Drawing Up Plan to Shield Food Output From Rival Imports(抜粋)

--取材協力:Agnieszka de Sousa.

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