欧州首脳はロンドンでの協議を受け、凍結ロシア資産をウクライナ向け融資の裏付けとする案で年内合意が可能との見方を強めている。一方、ウクライナに対する安全の保証を巡っては米欧の溝は依然大きい。

英首相官邸によると、ロンドンでの8日の協議でウクライナのゼレンスキー大統領と英独仏首脳は、凍結ロシア資産を活用し、ウクライナ復興のための900億ユーロ(約16兆3000億円)の融資を保証する枠組みについて「前向きな進展」を見せた。

事情に詳しい複数の関係者によれば、欧州首脳はクリスマス前に合意可能だと楽観しているという。

トランプ米政権のウクライナ支援削減により、ウクライナの同盟国には新たな資金源を確保する必要に迫られている。米国とロシア、ウクライナの和平協議がここ数週間に加速する中、米国は凍結資産を戦後投資に用いる可能性にも言及した。

欧州連合(EU)は先週、凍結資産を活用する案を提示した。EUの推定によると、ウクライナが今後2年間で基礎的な公共サービスの維持と軍の支援を続けるためには1350億ユーロが必要になる。

しかしEUは、凍結資金の大半が保管されているベルギーを含め複数の加盟国の反対に遭っている。首脳らは合意形成を目指し、今月18日にブリュッセルで会合を開く予定。

フィンランドのバルトネン外相は8日のブルームバーグテレビジョンのインタビューで、「法的にも政治的にも持続可能な解決策の確立にかなり近づいている」と発言。「ウクライナの存続を支援するためにロシア中央銀行の資産を活用することは、倫理面にとどまらず、さまざまな観点から正しい選択だ」と語った。

ゼレンスキー氏はロンドンでの協議後、X(旧ツイッター)への投稿で、首脳らは「安全の保証と復興の重要性について見解が一致し、次のステップで合意した」と述べた。

これに先立ち、ゼレンスキー氏はブルームバーグニュースのインタビューで、ウクライナ東部地域や同盟国からの安全の保証など、複数の「センシティブな問題」にはさらなる協議が必要だと語った。

原題:Europe Nears Deal on Russian Assets After Talks in London (1)(抜粋)

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