12月1週(1-5日)の日本株は堅調に推移する見通し。米国の年内利下げや好調な年末商戦への期待感が投資家心理をサポートしそうだ。

国内では多くの企業が中間配当を投資家に支払う時期に当たる。配当の大きいバリュー(割安)株を中心に、再投資の思惑が出やすいことも相場を支える要因となる。

ただ、これまで上昇相場をけん引してきた人工知能(AI)関連銘柄が一部失速していることもあり、日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)の最高値更新は難しいとの声が出ている。

市場では日本銀行の12月利上げの可能性が改めて意識されている。1日に植田和男総裁が講演と記者会見を行う予定で、発言を受けて利上げ観測が強まる場合は相場の重しとなりそうだ。

また、米国では1日に供給管理協会(ISM)製造業景況指数、3日にADP民間雇用統計とISM非製造業景況指数、5日には個人消費支出(PCE)価格指数が発表される予定だ。市場で12月の利下げが既に8割程度織り込まれる中、指標に予想外の上振れがあれば投資家を動揺させる可能性もある。

11月4週のTOPIXは週間で2.4%高と反発した。

《市場関係者の見方》

楽天投信投資顧問第二運用部の平川康彦部長

米利下げ見通しが強まる中で大きな下げはないだろう。また、ブラックフライデーでの販売好調が確認されれば好材料となる。一方で、AI関連銘柄を巡って循環取引の懸念が市場で話題になるなど不透明要因もある。日経平均は5万円前後での推移となり、高値を更新する可能性は低い。国内では中間期の配当支払いがピークで、配当がそのまま再投資されると考えると、高配当銘柄が多いバリュー株が底堅くなりそうだ。

T&Dアセットマネジメントの浪岡宏チーフストラテジスト

横ばい圏での推移を予想する。注目はISM景況指数で、市場にとって比較的ポジティブな数字を見込んでいる。ただ、日銀の植田総裁が12月の利上げを示唆して、日本株の重しになることはあり得る。日中関係の緊張を受けた小売りなどインバウンド関連銘柄への影響も残るだろう。ファンダメンタルズ的には日本株はまだ上値余地があり、日経平均は年末には5万2000円程度まで上昇するとみている。

--取材協力:アリス・フレンチ.

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