中国の電子商取引大手アリババグループが自社製人工知能(AI)モデル「Qwen」を搭載した初のスマートグラス(眼鏡型端末)の販売を開始した。消費者向けハードウエア分野で攻勢をかける。

新製品「Quark S1」は半透明ディスプレーを通じ、周囲の風景に情報を重ねて表示する。カメラ、骨伝導マイク、24時間持続する交換式バッテリーを備え、米メタ・プラットフォームズの「レイバン」ブランドのスマートグラスに対抗する体験を中国市場で提供する。

新端末の投入は、AI中心の事業構造への転換を目指す組織再編の一環だ。同社は先週、主力モバイルAIアプリ「千問(Qwen)」が刷新後1週間でダウンロード数が1000万件を超えたと発表した。

呉泳銘(エディ・ウー)最高経営責任者(CEO)は今週、新アプリの顧客定着率が「極めて高い」と強調した。同社は検索ブラウザー「Quark」にもAI機能を統合済みで、ウエアラブル端末への搭載で利用基盤をさらに広げる。

S1の価格は3799元(約8万4000円)から。マイクロ有機EL(OLED)ディスプレーを非搭載とした1899元の下位モデル「Quark G1」も用意した。両モデルとも、拡張現実(AR)グラス向けに設計された米クアルコム製高性能チップセット「スナップドラゴン AR1」を採用し、AI処理向けのプロセッサー「ニューラル・プロセシング・ユニット(NPU)」を備える。

S1は自社通販サイト「天猫(Tモール)」、京東商城(JDドットコム)、バイトダンス(字節跳動)の中国版TikTok「抖音」のほか、中国82都市600店超で販売される。アリババのQuark部門担当者によると、海外版は来年提供され、一部はアリババの海外向け通販サイト「アリエクスプレス」などで販売される見通しだ。

動画:アリババのスマートグラス「Quark S1」、価格は3799元から

原題:Alibaba Releases AI Glasses in Rare Consumer Gadget Foray(抜粋)

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