(ブルームバーグ):20カ国・地域首脳会議(G20サミット)での高市早苗首相と中国の李強首相との接触は行われなかった。高市首相の台湾有事を巡る発言を受けて悪化した日中関係の修復は長期化しそうだ。
高市首相は23日、「今回のG20サミットでは李強首相と会話する機会はなかった」と、訪問先の南アフリカで記者団に語った。
日中関係を巡っては、台湾有事が集団的自衛権の行使が可能となる「存立危機事態」になり得るとした高市首相による7日の国会答弁に中国が反発。水産物の輸入停止などの報復措置を行ったほか、国連に対し、日本が台湾海峡情勢に武力介入した場合、断固とした自衛措置を取ると警告する書簡を送付した。
高市首相は22日に英国のスターマー首相、23日にドイツのメルツ、インドのモディ両首相とそれぞれ会談するなどG20を利用した首脳外交を行っている。李首相と接触できれば関係修復の糸口となる可能性があった。
高市首相は日本出発前の21日、日中関係については10月末に習近平国家主席との首脳会談で、「戦略的互恵関係の包括的推進と建設的かつ安定的な関係の構築という大きな方向性を確認した」と指摘。「こうした考えに一切変わりはない」との見解を示していた。
存立危機事態に関しては「実際に発生した事態の個別、具体的な状況に即して、政府が全ての情報を総合的に判断する」と強調。関連法成立時の安倍晋三政権から「政府の立場は一貫している」と述べていた。
--取材協力:伊藤純夫.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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