(ブルームバーグ):米国の乳牛頭数が過去25年以上で最多となり、牛肉供給の逼迫(ひっぱく)に直面する食肉業界や、牛肉価格高騰に直面する消費者にとって明るい兆しとなっている。
米農務省の報告書によると、7-9月(第3四半期)の平均乳牛飼養頭数は954万頭と、1998年以降のデータで最高水準を記録した。前年同期比では約20万頭の増加となり、四半期ベースでは過去最大の伸びだった。
乳牛飼養頭数の増加は酪農家が食肉処理に回す牛を減らし、代わりに1年半後に食肉となる「ビーフ・オン・デイリー(乳牛由来の子牛)」を繁殖させるため飼育期間を延長していることを示している。こうした子牛は、出生直後から1000ドル(約15万5000円)以上で取引されるなど、新たな収益源となっている。

「乳牛頭数が急増している主因はビーフ・オン・デイリーの広がりだ」と農業系金融機関コーバンクのアビー・プリンス氏は指摘する。「経済的に見れば、酪農業者は雌牛を肉用牛とするよりも、交雑種の子牛を育てて販売した方が収益性が高い」と述べた。
米国の牛の供給は逼迫しており、肥育牛価格は今年、過去最高を更新した。供給のタイトな状況は今後も続くとみられる。トランプ米大統領は消費者物価抑制を目的に、牛肉など一部の農産品関税を引き下げる大統領令を14日に発出した。
ただ、乳牛は米国の牛の総頭数に占める割合が小さいため、今回の増加だけで牛の不足問題を解消することは難しいと、スタイナー・コンサルティング・グループのチーフエコノミスト、アルティン・カロ氏は指摘。しかし、乳牛の大幅な増加により、米国の子牛生産は2018年以来の増加となり、供給の逼迫をいくらか緩和する効果はあると同氏は述べた。
原題:Surge in US Dairy Herd Signals Some Relief for Beef Shortage(抜粋)
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