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高市氏に重大な試練

高市早苗首相が就任早々、台湾問題を巡る発言で重大な外交的試練に直面している。強い指導力を示すナショナリスト候補として党首に選出された高市氏が発言撤回を求める中国に屈服すれば、重大な政治的反発に直面するだろう。中国は事態が悪化すれば制裁を発動し、外交・経済・軍事の連絡ルートを遮断する可能性を示唆しており、打開策は見えない。高市氏にとって危険なのは、中国が予想以上に日本の経済や企業に圧力をかけ、日本の自動車産業が中国に依存する重要鉱物の供給を制限する可能性があることだ。レアアース(希土類)のさらなる武器化が起きれば、トランプ米大統領が注目し、事態が複雑化するリスクがある。

日銀総裁と会談へ

高市首相が日本銀行の植田和男総裁と18日午後3時半から会談すると、首相官邸が明らかにした。 7-9月の実質国内総生産(GDP)速報値は6四半期ぶりのマイナス成長を記録。高市氏は力強い経済成長の実現が自身の最優先目標の一つだと強調しており、市場では政府が大型の補正予算を組むとの臆測が広がっている。高市氏が日本銀行の利上げに対する慎重な姿勢を緩める用意があるのかどうかが注目される。日銀は次回の金融政策判断を12月19日に発表する。ブルームバーグが10月に調査したエコノミストの半数は同会合での金利変更を見込んでおり、1月も含めるとほぼ全員が変更があると予測した。

関税合意の形骸化

米国が50%としている鉄鋼・アルミニウム関税の対象拡大を検討しており、欧州連合(EU)が懸念を示している。関係者らによると、シェフチョビッチ欧州委員(通商担当)とEU27カ国の貿易相は、24日にブリュッセルで予定されているラトニック米商務長官との会談で、この問題を提起する。8月に合意したEU・米貿易協定では、多くの欧州製品に対する米国側の関税上限を15%と定めていた。しかし現在も鉄鋼・アルミニウムほか400を超える品目に50%の関税がかかっており、協定の趣旨に反するとEU側は主張する。15%の上限は自動車や医薬品、半導体、木材など具体的に明記された品目にとどまらず、より幅広い産業に適用されるべきだというのが、EUの立場だ。

エヌビディア株売却

米テクノロジー業界の重鎮ピーター・ティール氏が率いるヘッジファンド、ティール・マクロは7-9月(第3四半期)にエヌビディア保有株を全て売却していた。米証券取引委員会(SEC)への提出文書で明らかになった。エヌビディア株を巡っては、ソフトバンクグループも保有する全株を10月に58億3000万ドルで売却したと発表した。また909のヘッジファンドがSECに提出した文書を分析したところ、エヌビディア株に対する投資家心理はほぼ拮抗(きっこう)している。9月までの3カ月でポジションを増やしたヘッジファンドが161、減らしたのは160だった。急ピッチで資金を調達し、投資を続けているがそれに見合う収益化モデルをいまだ示せていないAI関連各社への投資家の見解はなお分かれている。

「ごみのような融資」

著名債券投資家として知られるダブルライン・キャピタル創業者、ジェフリー・ガンドラック氏は、「ごみのような融資」と不健全なバリュエーションがあふれる市場で、シンプルな戦略を貫いている。現金比率を高くし、プライベートクレジットには近づかないというものだ。株式市場の極端な高バリュエーションを指摘し、「極めて投機的」な賭けを避けるよう投資家に警告した。同氏は市場崩壊への備えとして資産の20%を現金で保有するよう推奨。プライベートクレジットの危うい融資と人工知能(AI)への過剰な期待が、崩壊の温床だとみている。 「金融市場における次の大きな危機はプライベートクレジットだ」とし、「2006年当時のサブプライム住宅ローン証券化と同様のあやうさをはらんでいる」と述べた。

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