野村ホールディングスが自社のインド債券事業に関する社内調査を実施している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにしたもので、金利部門の上級幹部らに対し、ここ数年の利益が水増しされていなかったかどうかを確認するよう求めているという。

同社のコンプライアンス部門が開始した調査では、インド国債の元本とクーポンを切り離したストリップスの取引の評価方法に照準を定めている。関係者が非公開情報を理由に匿名で明らかにした。

野村はストリップス市場における主要プレーヤーの1社。同市場はニッチながらも、1兆3000億ドル(約200兆円)規模のインド国債市場で急成長している分野だ。関係者によれば、この分野は利益を過大評価する会計慣行の温床となっているとされ、今回の調査はそうした懸念の高まりを反映している。

野村の広報は「記事で述べられているようなコンプライアンス部門による調査は、一切行われていない。ストリップス事業に関する日常的な点検においても、そのような問題は一切確認されていない」と電子メールでコメントした。

 

決済機関のデータによると、ストリップスの取引高は3月末までの年度に2兆4700億ルピー(約4兆3100億円)と、5年前の6倍超の規模に急増した。保険会社による購入の拡大が需要急増の主因となっている。保険会社はキャッシュフローを金利変動から守るため、ゼロクーポン証券を選好している。

関係者の話では、野村のコンプライアンス部門は約1カ月前から、現地プライマリーディーラー部門の評価・会計慣行を精査し始めた。調査の焦点は、トレーディング部門が実際の市場流動性を反映しない理論価格にポジションを評価し、利益を押し上げたかどうかだという。

関係者によれば、長期国債を元本と利払いの部分に分離することで、機関投資家は流動性の低い証券の未実現利益を計上できる。

原題:Nomura Probes India Bond Desk Amid Surge in Strips Trading(抜粋)

(野村ホールディングス広報のコメントを加え、更新します)

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