(ブルームバーグ):ゴールドマン・サックス・グループは、想定を上回る大規模な経済対策への懸念が投資家の間で強まり、期間長めの国債と円に圧力をかける中で、日本の財政リスクプレミアムが再び顕在化する可能性を指摘した。
ジョージ・コールらストラテジストは14日のリポートで、日本政府が単年度の財政均衡や長期的な財政目標の達成を断念するのではないかとの懸念が強まっていると指摘。「最終的な結果が当初の懸念ほど極端なものにならないとしても、財政面への警戒感の高まりを踏まえると、市場が安心感を得るまでの道のりは平たんではないだろう」と論じた。
ゴールドマンの見解は、長期国債利回りが再び急上昇する可能性への市場の不安を反映するものだ。今年のある時期には、財政懸念が日本国債を揺さぶり、世界市場にも波及した経緯がある。
高市早苗首相はより積極的な財政姿勢を示している。最近の報道によると、政府は今年度に約14兆円規模の補正予算を検討しており、昨年度の13兆9000億円を上回る可能性がある。
日本の30年国債利回りは過去最高に迫る水準にある。10年債の利回りも17日午前の東京市場で1.72%に上昇し、2008年以来の高水準を付けた。
ゴールドマンによると、最近は円安が金利見通しに与える影響が弱まっている。日本銀行が円安に歯止めをかけるため利上げに動く兆候が乏しいという。その背景には、米国の関税措置の影響や日本の賃金動向を慎重に見極めようとする日銀の姿勢があると分析した。
このため日銀の短期的な政策方針がより明確になる12月中旬までは、長期債利回りの上昇圧力が続く可能性があるとみている。一方で、短期債では比較的ハト派的な見通しが維持されるとした。
別のリポートで、グローバル外国為替・金利部門責任者カマクシャ・トリヴェディ氏らゴールドマンのストラテジストは、マクロ経済環境が円安を支える場合には、短期的に円安がさらに進行する余地があると指摘した。
円は先週、重要な節目となる1ドル=155円を一時抜け、片山さつき財務相ら当局者による円安けん制発言を招いた。
ただストラテジストは、ドル高・円安の進行は「政府のより強力な口先介入や実際の為替介入の可能性から、限定的だろう」と論じた。
原題:Goldman Sees Higher Japan Bond Premium as Fiscal Worries Return(抜粋)
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