富士フイルムホールディングスの後藤禎一社長は、半導体材料の工場を計画するインドについて、周辺国への輸出も見込め次の生産ハブになるとの期待を示した。

後藤氏はブルームバーグTVのインタビューで、アフリカや中東、東南アジア向けでも「インドが生産の拠点になる」と強調。様々な製品に使われる半導体の「パイは必ず大きくなる」と述べた。

富士フイルムは5月、タタ・エレクトロニクス向けへの半導体材料供給と現地での工場設立の検討を明らかにしていた。後藤氏は、半導体工場が立ち上がるとみられる2027-28年ごろに合わせて「同じようなタイミングで工場を立ち上げる」とした。

バイオ開発製造受託(CDMO)事業とともに成長性を見込む半導体材料事業では、前工程向けで強みを発揮してきたが、「後工程の中でどれだけマーケットをとっていくかが大きな課題」だという。

富士フイルムの後藤社長(14日、東京都)

後藤氏は、微細化や積層化に必要なCMPスラリーや、絶縁層ポリイミドのシェア拡大に意欲を示す。CMPスラリーでは、半導体チップ同士を直接接合する先端技術向けの新製品を発売。大手半導体製造メーカーでの採用が始まり「これから商売が開く段階」と述べた。

写真フィルムが祖業の富士フイルムは、デジタル化に伴う市場縮小を受け、2000年代から事業ポートフォリオの転換を積極的に行ってきた。

30年度を最終年度とする中期経営計画では、バイオCDMO事業と半導体材料事業への積極投資方針が明記されており、将来性のある事業への集中投資で成長市場への食い込みを狙う考えだ。

後藤氏のそのほかの発言

  • バイオCDMO事業では、米国で2万リットル級の大型バイオリアクターを今年と28年にそれぞれ8基稼働させ、28年までの生産枠の多くをメガファーマと契約
    • 単なる受託製造ではなく、高付加価値で技術主導の製品を提供することで、競争優位性を確立できる

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