(ブルームバーグ):ソフトバンクグループが11日午後に発表する7-9月期(第2四半期)決算は黒字を確保する見通しだが、前年同期比では大幅な減益となる見込み。足元では人工知能(AI)関連株の上昇が一服し、保有資産の評価に影響を及ぼす可能性があり、業績の先行きには不透明感もある。
同四半期の連結純利益は、ブルームバーグが集計したアナリスト予想の平均によると、3四半期連続の黒字となる見通しだ。前年同期は、持株会社の戦略的投資事業が好調だったことから、1兆1796億円の黒字だった。
ソフトバンクGはAIを支える半導体やハードウエアへの投資に注力しており、エヌビディア株や台湾積体電路製造(TSMC)株の保有を増やしていた。
ただAI関連株を巡っては割高感や事業収益化への懸念も高まり、11月に入って急落。保有資産の評価減が今後の決算を圧迫する可能性もある。
ソフトバンクGは、AIプロジェクト「スターゲート構想」に今後4年間で他社と協力し最大5000億ドルを投じる方針で、海外債券市場での資金調達を活発化している。
10月にはドル建てとユーロ建てで総額4300億円超の劣後債を起債した。ドル建て債のうち償還期限が長めの社債の利率は8.25%、ユーロ建て債は6.5%に設定された。ブルームバーグのデータによれば、ソフトバンクGによる今年の国内社債発行額は8200億円に上り、日本企業では最大規模だ。
ブルームバーグ・インテリジェンスのシャロン・チェン氏はメモで、ソフトバンクGが最近の資金調達を経ても最大250億ドルの資金不足に陥る恐れがあると指摘。今後12-18カ月の間に、約100億ドルの社債を追加発行する可能性があるという。債務の増加によって資金調達コストが上昇し、キャッシュフローの悪化も見込まれる。
信用リスクを表すクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は、11月7日時点で約249ベーシスポイント(bp)と、7月以来の高水準だ。
国内2位に浮上
世界の巨大テック株の高騰に歩調を合わせ、ソフトバンクGの株価は年初来で2.5倍に上昇し、時価総額は30兆円を超えた。9月下旬には時価総額が三菱UFJフィナンシャル・グループを抜いて国内2位に浮上。10月下旬には4年ぶりに首位のトヨタ自動車との差を約10兆円まで縮めた。
ただその後10月下旬のピークから一時2割下落し、株価変動の指標である60日間のヒストリカルボラティリティは2020年のパンデミック以降で最高水準に達した。それでも一部の投資家は同社株にさらなる上昇余地があると楽観視する。
野村証券の増野大作アナリストは6日付のリポートで、ソフトバンクGのAI半導体事業について26年の事業化を想定するとし、「スターゲートの5000億ドルの投資の中心はAIサーバーであり、自社チップによる収益機会は大きい」と指摘。目標株価を2万100円から2万6280円に引き上げた。
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