米ブラックロックは約1か月前、経営不振に陥っていた住宅修繕社レノボ・ホーム・パートナーズへのプライベート債務を額面通りの100セント=1ドルで評価していた。だが先週時点で、その評価額はゼロとなった。

レノボは先週、突然の破産申請を行い、事業閉鎖計画を明らかにした。非公開情報を話しているとして、匿名を条件に述べた事情に詳しい関係者によると、レノボが抱える約1億5000万ドル(約230億円)のプライベート債務の大半をブラックロックが保有し、アポロ・グローバル・マネジメント傘下のミッドキャップ・ファイナンシャルと、オークツリー・キャピタル・マネジメントも一部保有していた。

レノボが苦境にあったことは周知の事実だった。しかし9月末時点でも、ブラックロックとミッドキャップが運用するファンドは、レノボの新たな債務を額面価格で評価していた。これは通常、投資家が全額返済を見込んでいることを意味する。事態の悪化にはわずか数週間しかかからなかった。

ブラックロックTCPキャピタルのフィリップ・ツェン最高経営責任者(CEO)は決算説明会で、「第4四半期初めに企業固有の業績および流動性の問題を受け、レノボ取締役会は清算手続きを最善の選択肢と判断した」と説明。「このポジションは2025年第4四半期に全額償却する見込みだ」と述べた。

また、アポロのマネージングディレクター、テッド・マクナルティ氏は、「ミッドキャップ・ファイナンシャル・インベストメント」の決算電話会見で、10月末にレノボが破産申請を行うことを「認識した」と述べた。

ブラックロックとアポロの広報担当者はこれ以上のコメントを控え、オークツリーの代表者はコメントを拒否した。

貸し手側の3社にとって、レノボ向け債務は総資産のごく一部にすぎないが、その突然の崩壊は、プライベート・クレジット市場の脆弱(ぜいじゃく)性と批判される問題の核心を突く。つまり、流動性の乏しい融資の評価と、その裏付けとなる企業の実際の業績との間にあるギャップだ。

ツェン氏は、レノボについて「今回の結果は、業界全体の弱さを反映したものではなく、発行体(レノボ)固有の問題によるものとみている」と述べた。

原題:BlackRock Eyes 100% Loss on Private Loan Amid Debate Over Marks

(抜粋)

--取材協力:Irene Garcia Perez、Olivia Fishlow.

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