(ブルームバーグ):日産自動車は6日、7-9月期(第2四半期)の営業利益が前年同期比61%増の515億円だったと発表した。リストラの進捗(しんちょく)で手元資金は厚くなったものの本格的な販売回復には至っておらず、不安は残る。
日産の発表資料によると、第2四半期は米関税に加えて為替やインフレなどのマイナス影響を受けたものの、購買や研究開発費、生産・物流費などのコスト削減で633億円の増益要因となったほか、一過性の要素もあって増益を実現した。
市場予想(788億円の赤字)は上回ったが、単純には喜べない内容だ。日産は4-9月(上期)の営業赤字が縮小する背景について、予定していた一部の研究開発プロジェクトの実施を下期に変更したこともあるとしており、今期(2026年3月期)は2750億円の営業赤字を見込んでいるためだ。
実際、今期の世界販売台数は従来見通しの325万台を据え置いたものの、第2四半期の新車販売台数は国内で前年同期比21%の大幅減となったほか北米以外のすべての地域でマイナスとなるなど本業の回復を見通せない状況は続いている。
また、第2四半期の純損益は1062億円の赤字と、赤字幅が前年同期から拡大。通期の純利益見通しについては引き続き未定とした。
4月に就任したイヴァン・エスピノーサ社長の下、日産は国内主力の追浜工場(神奈川県横須賀市)の生産中止や本社ビル(横浜市)の売却などを急ピッチで進めてきた。自動車事業の流動性は9月時点で2兆2000億円の現金及び現金同等物を含めて3.6兆円を確保。未使用の融資枠も2兆3000億円と資金の確保には一定のめどがたった。
ブルームバーグ・インテリジェンスの吉田達生アナリストは第2四半期の着地は従来、公表されていた業績予想に沿うものでサプライズはなかったと指摘。リストラの進展は評価できるものの期末にかけて厳しい状況が見込まれ、販売改善やコスト抑制など今後については楽観視できないとした。
エスピノーサ社長は決算会見で、上期の結果について日産が複数の課題に直面していることを示していると認める一方、着実に回復に向かっていることも意味しているとし下期に向けて新車の投入も含めて「ぶれない活動と規律正しい取り組みをもってすればよりよい結果を出せると信じている」と述べた。
(発表内容の詳細やコメントなどを追加して更新しました)
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