経営破綻した米自動車部品メーカー、ファースト・ブランズ・グループは「広範な不正」を行っていたとして、破産手続きの一部除外を金融機関が求めている。

10月30日に裁判所に提出された文書によると、ファースト・ブランズはこれまでに指摘されていた資産の二重担保設定に加え、新たな情報によって「多数の財務報告や与信契約書、融資可能額証明書において虚偽の記載がなされていた」ことが示唆されたと、同社に関連する特別目的事業体(SPV)に資金を貸し付けていた金融機関は主張。このSPVをファースト・ブランズの破産手続きから除外することを求めた。

また、消えたとされる数十億ドルに上るファースト・ブランズの資金について、他の債権者の呼び掛けに同調する形で、独立した調査官の選任を要請した。

この提出文書の中で金融機関は、SPVの銀行口座には常に現金があるとされていたが、ファースト・ブランズは破産申請の直前になって「その口座には現金がない。ファースト・ブランズのアドバイザーも口座に以前あった現金がどこに消えたのか、把握していない」と通知してきたと説明した。

SPVはファースト・ブランズの特定の種類の在庫を保有し、主にワイパーやフィルター、ブレーキが占めていたという。

テキサス州の破産裁判所は11月17日に、破産手続きからのSPVの除外を求める金融機関の訴えを審理する予定。

ファースト・ブランズが破産申請前に不正を行っていたとする債権者の訴えは増える一方だ。SPVと在庫ファイナンス契約を結んでいた、エボリューション・クレジット・パートナーズが管理する複数のファンドは別の提出文書で、ファースト・ブランズがSPVから「不正に資産を吸い取っていた」とし、独立した管財人の指名を求めた。

ファースト・ブランズを巡っては、創業者のパトリック・ジェームズ氏が10月始め、最高経営責任者(CEO)を辞任。米連邦検察は同社破綻の状況について捜査に入った。同社の取締役および役員の代理人弁護士は、債権者が主張する不正容疑を全面的に否定している。

原題:First Brands Lenders Allege ‘Widespread Fraud’ in Court Filing(抜粋)

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