(ブルームバーグ):欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバーのコッハー・オーストリア中銀総裁は31日、足元の経済指標はやや改善しているとし、インフレ率は今後2年間、2%近辺にとどまるとの見通しを示した。
30日発表されたユーロ圏の7-9月(第3四半期)期域内総生産(GDP)は予想を上回った。
コッハー氏は、ECBが現在「良い位置」にあり、状況はさらに良くなっている可能性があるとの見方を改めて示した。
「少なくとも、9月の政策委員会以降に入ってきたデータの幾つかは、やや良い方向に振れている」と、ブルームバーグテレビジョンの番組で語った。

エストニア中銀のミュラー総裁も「経済情勢は徐々に改善してきた」との認識を示し、現在の金利水準は「適切だ」と語った。
コッハー氏は、12月に公表予定の2028年の経済見通しについて、あまり重要視しない考えを示した。
不確実性が依然として高いことを指摘し、「従って、この単一の予測に過度な重みを置くのは適切ではないと思う」と述べた。
ラトビア中銀のカザークス総裁も同様の見解を示した。
「28年の予測はインフレ動向を確認する上で非常に重要になるが、その重要性を過大評価すべきではない」とし、「不確実性は依然として高く、今後も消える見込みは低い。そのため、予測には大きな誤差の余地がある」と指摘。
予測の解釈には慎重を期し、不安定な政策判断を避ける必要があると強調した。政策当局者は安定性を維持すべきだと付け加えた。
「必要と判断すれば動くが、神経質になる必要はない。政策判断の安定性はわれわれの強みだ」と語った。

ラガルド総裁は30日の政策決定後の記者会見で、ECBは良い位置にあると語った。カザークス氏も同様に、金利水準が「良い位置」にあると考えている。
「インフレ率は実質的に2%前後にあり、インフレ期待もしっかりと固定されている。われわれにはそれを維持できる信頼性がある」と述べた。
「インフレリスクはよりバランスが取れている」とした上で、成長リスクも同様ながら、やや下方寄りだとの認識を示し「成長は堅調というよりも脆弱(ぜいじゃく)で、不確実性は依然として非常に高い」とコメントした。
原題:ECB’s Kocher Says Data Have Turned ‘Slightly Better’ (1)、ECB Mustn’t Overreact to 2028 Inflation Forecasts, Kazaks Says(抜粋)
--取材協力:Milda Seputyte、Kirsi Heikel、Ott Tammik.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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