東アジア情勢への影響は、被爆国・日本ができること

東京大学准教授 斎藤幸平氏:
まず一つに、韓国の原子力潜水艦の建造を承認するということは、韓国が核武装をする可能性が開かれるということです。またアメリカも核兵器実験を再開すれば、冷戦が終わって30年が経った中で、ロシア、イスラエルも含めて実際に核が使われる脅威がますます増してくる状況を意味します。

被爆国である日本としては、この状況に対してしっかり反対の意思を示さなければいけないですが、高市総理がトランプ大統領に対してそれを言えるのか。逆に先日、高市総理がトランプ大統領をノーベル平和賞に推薦するという話がありましたが、ちょっとリップサービスがすぎるのではないかと懸念しています。

小川彩佳キャスター:
トランプ大統領の一連の発言を受けてもなお、トランプ大統領をノーベル平和賞に推薦するのか、高市総理には問いたいと感じます。

東京大学准教授 斎藤幸平氏:
防衛費の増大、アメリカからの兵器購入などをやっているだけで、本当にアジアの平和を守っていけるのかということを我々はやっぱり考えていかなければいけないと思います。

小川キャスター:
日本がどれだけ主体的に向き合うことができるのか問われる中で、31日に行われるとみられる日中首脳会談、どういった点に注目されていますか。

東京大学准教授 斎藤幸平氏:
石破前総理のときは韓国も含めて、アジア全体の雰囲気が少し友好的な関係へと向かう感じがありましたが、今回、高市氏が総理に代わったことでどう変化していくのかということが、多くの国民の皆さんが気になっているところだと思います。

中国に対して、トランプ大統領と仲良くできていることを踏まえて、あまり強気の姿勢で臨みすぎないように。トランプ大統領と習近平国家主席の会談から読み取れるように、やはりトランプ大統領は中国と仲良くしたいと思うので、最後に日本だけがハシゴを外されるということにならないようにしたいですよね。

==========
<プロフィール>
斎藤幸平さん
東京大学准教授 専門は経済・社会思想
著書『人新世の「資本論」』