(ブルームバーグ):米国は、北大西洋条約機構(NATO)域内東部に配備している部隊を撤収すると明らかにした。共和党の一部議員から批判が上がったほか、欧州への軍事支援全般が縮小に向かうとの懸念も広がっている。
米欧州アフリカ陸軍は声明で、第101空挺(くうてい)師団の対象部隊をケンタッキー州に帰還させるが、後任部隊の派遣はしないと明らかにした。声明は人数には触れていないが、国防総省は以前、この部隊が約4200人の兵員を抱えるとしていた。
決定は「欧州からの撤退」や、NATOまたはその集団防衛条項への「関与の低下」を示すものではないとしている。声明は「むしろ、これは欧州の能力と責任が増大していることを示す前向きなサインだ」と指摘。この調整によって「欧州の安全保障環境が変化することはない」という。
欧州に駐留する米軍兵士は約8万5000人で、影響はごく一部となる。それでもトランプ米政権は、欧州に防衛面でより大きな役割を果たすよう求めており、相当数を撤収させようとしているのではないかとの懸念が生じている。
欧州の指導者らは、今後の削減の可能性に不安を示している。バイデン前政権下で実施された約2万人の増派とは、少なくとも逆の動きになるだろうとみている。
米共和党のウィッカー上院軍事委員長とロジャース下院軍事委員長は決定を強く批判。
両委員長は共同声明で、「ロシアのドローンがルーマニア領空を侵犯したわずか数週間後に、NATO東部地域から時期尚早に米軍を引き揚げることは、抑止力を損ないさらなるロシアの侵略を招くリスクがある」と指摘している。
原題:US Withdraws Some Troops from Europe But Denies Broader Pullback(抜粋)
--取材協力:Daniel Hornak、Greg Sullivan、Mark Sweetman.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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