イスラエル軍はイスラム組織ハマスによる停戦合意への違反を理由にガザ全域を空爆し、100人以上が死亡しました。停戦発効以降、最大規模の被害とみられます。

イスラエル軍は28日から29日にかけてガザ全域を空爆し、少なくとも104人が死亡しました。ガザ保健当局によりますと、このうち46人は子どもだということです。

軍は29日に声明を出し、一連の攻撃で「テロリスト30人を殺害した」などと主張したうえで、「再び停戦合意の履行を始めた」としています。

今回の攻撃は28日にイスラエル軍の部隊が、ガザ南部ラファで対戦車ミサイルなどによる攻撃を受けたことへの報復とみられています。

イスラム組織ハマスはこれについて関与を否定していますが、イスラエルのカッツ国防相はハマスによる攻撃と断定し「大きな代償を払うことになる」と表明していました。

ガザでの被害は、停戦が発効した10日以降最大規模のものとみられ、改めて和平合意の脆さを露呈した形です。

こうしたなか、イスラエル首相府は29日、ハマスがイスラエルに引き渡した遺体の発見を偽装していたとする映像を公開しました。

首相府などによりますと、この映像は27日にガザ北部で無人機によって撮影されたもので、ハマスのメンバーが白い袋に入った遺体を別の場所から運び出し、スコップで埋める様子が映っていたということです。

その後、国際赤十字のスタッフを呼び、遺体を発見したように装ったとしています。

イスラエル側は「ハマスが人質遺体の所在を把握しながら、返還を意図的に遅らせている」と非難している一方、ハマスはこれについていまのところ反応を示していません。

ガザには今も13人の人質の遺体が残されているとみられていますが、ハマス側はこれまで、がれきの下に遺体が埋もれていて、重機による捜索が必要などと説明していました。