ヘグセス米国防長官は22日、東太平洋上で麻薬密輸に関与しているとみられる船舶を21日に攻撃したとSNS投稿で明らかにした。これまでカリブ海に限定されていた米軍の空爆作戦を太平洋に拡大した。

ヘグセス氏によると、この攻撃で2人が死亡したという。同氏は投稿で、「わが国の海岸に毒を持ち込もうとする麻薬テロリストにとって、安全な避難場所はこの半球のどこにもない」と指摘した。

トランプ政権は中南米の麻薬カルテルに対する軍事作戦を強化している。

トランプ大統領はホワイトハウスの大統領執務室で記者団に対し、薬物過剰摂取による死者が出ていることを理由に、攻撃を実施する法的権限があると主張。「昨年は30万人の米国民が死亡した。それが法的権限をもたらす」と述べた。

ルビオ国務長官も「これらは麻薬を積んだ船だ。米国に麻薬を送るのをやめれば破壊されることもなくなる」と発言した。

トランプ政権はベネズエラ政府が麻薬取引を助長しているとして非難しており、これまでの攻撃は主に同国沖合のカリブ海に限られていた。しかし、東太平洋での攻撃により、米政権がコロンビア沖の船舶も標的にし始めたことがうかがえる。

米政府はコロンビアとペトロ政権への圧力を強めている。トランプ米大統領はペトロ大統領を「違法薬物の盟主」だと非難し、全ての支援を打ち切ると表明。同国に対する新たな関税発動も警告している。

一方、ペトロ氏はカリブ海における米軍作戦を激しく批判し、北米への麻薬密輸の大半は太平洋経由であり、ベネズエラ発はわずか約3%にすぎないと反論した。

今回の行動は、米国がベネズエラを含む経由国だけでなく、コロンビアなどの主要供給国への圧力を重視し始めたことを示唆している。

原題:US Military Widens Anti-Drug Campaign With Strike in Pacific (2)(抜粋)

--取材協力:Fabiola Zerpa、Oscar Medina、Eric Martin、Anthony Capaccio、Skylar Woodhouse.

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