(ブルームバーグ):台湾電子部品メーカー、ヤゲオの陳泰銘会長は21日、株式公開買い付け(TOB)が完了した芝浦電子について、双方の技術や顧客基盤を最大限に活用し、競争力を高めていきたいとの考えを示した。
陳氏は都内で開いた記者会見で、日本企業は素晴らしい単一技術がある一方で、米アップルのような米大手IT企業への販路は不十分だと指摘。今後は芝浦電子と製品やアプリケーション、販売地域の相互補完性を高めながら、芝浦電子の高機能製品の拡充や販売規模の拡大を図りたいとした。
芝浦電子の葛西晃社長は、同意なきTOBをかけられた当初は明確なシナジー効果が見いだせなかったが、面談を重ねたりヤゲオの工場を訪問したりすることで理解が深まり、「両社が協力すればより高い付加価値を提供できると確信した」と述べた。新製品の開発にも意欲を見せた。

ヤゲオは20日、芝浦電子に対して実施したTOBにおいて、買い付け予定数の下限を大幅に超える87.3%の応募があったと発表した。2026年第1四半期までに非公開化プロセスの完了を目指す。
同社は芝浦電子の持つ高精度なサーミスタ関連技術を取り込むことで、人工知能(AI)関連など成長分野での製品ポートフォリオを拡大させる狙いがある。1977年創業の同社は、オランダ・フィリップスのセラミックコンデンサー部門など受動電子部品企業の合併・買収を重ね、会社を成長させてきた。
ヤゲオが芝浦電子に対してTOBを実施すると公表したのは2月だ。ホワイトナイト(白馬の騎士)として対抗TOBに打って出たミネベアミツミと価格競争になったほか、外国為替及び外国貿易法に基づく審査が長引き、5月に開始したTOBは完了に5カ月以上かかった。
芝浦電子の葛西氏は海外企業に買収されることによる地政学上のリスクについて問われると、経済産業省が承認しており「懸念はない」とした。ヤゲオ傘下になることにも「100%納得している」と述べた。
もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.