(ブルームバーグ):メタプラネットやマイケル・セイラー氏のストラテジーといった「デジタル資産トレジャリー(DAT)」企業を通じた暗号資産(仮想通貨)ビットコイン投資による個人投資家の損失額が、推定約170億ドル(約2兆6000億円)に上ると新たなリポートが示した。
株価プレミアムの過大評価が原因で、DAT企業は実際に保有する暗号資産の価値よりもはるかに割高な水準で株式を発行している。今やこうした企業の株価は急落し、多くの個人投資家が損失を抱えている。
シンガポールの調査会社10Xリサーチのアナリストは17日に公表したリポートで、「ビットコインのDAT企業にとって、金融マジックの時代は終わりを迎えつつある」と指摘した。
リポートによると、「個人投資家は実質的に約170億ドルを失い、新たな株主はビットコイン投資に推定200億ドルを過払いする形となった」という。
リポート執筆者はその証拠として、ストラテジーの例を挙げた。同社の株価はかつてビットコイン保有額を3-4倍上回る水準で取引されていたが、現在のプレミアムは1.4倍にとどまる。
多くのビットコインDAT企業が採ってきた戦略は、至ってシンプルだ。すなわち、純資産価値(NAV)を上回る割高な価格で株式を発行し、その差額でビットコインを購入するという手法だ。
10Xリサーチによれば、メタプラネットの時価総額は、10億ドル相当のビットコイン投資により80億ドルまで膨らんだが、その後31億ドルに減少。その一方で、ビットコイン33億ドル相当を保有している。
「この過程で株主は49億ドルの価値を失ったが、同社は結果的に23億ドル相当のビットコインを積み上げることができた。これは称賛に値する成果だ」とリポートは説明。
ただ、市場価値と株価プレミアムの縮小は懸念要因であり、こうした企業が今後生き残るためには新たな戦略への転換が必要だとの見方も示した。
原題:Retail Buyers Lost $17 Billion on Bitcoin Hype After Stock Crash(抜粋)
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