(ブルームバーグ):17日に決算を発表した米地銀の幹部からは、信用不安の高まりを受けて投資家の懸念払拭に努める発言が相次いだ。
トゥルイスト・ファイナンシャルのビル・ロジャース最高経営責任者(CEO)は電話会見で「全体として信用の質は健全だ」と指摘。「市場で見られるいくつかの事例は、やや特異で相関のない事象だと言える」と述べ、信用リスクに対して同社は「厳重に警戒している」と説明した。

複数の地銀が発表した7-9月(第3四半期)決算では、貸倒引当金がアナリスト予想を下回ったことを受けて、トゥルーイストなどの地銀株が上昇した。
米自動車ローン会社トライカラー・ホールディングスと自動車部品メーカー、ファースト・ブランズ・グループの経営破綻を受けて、信用市場にひびが入り始めれば、銀行が多額の損失に直面するとの懸念が出ていた。
前日には、ザイオンズ・バンコープが完全子会社のカリフォルニア・バンク・アンド・トラストを通じて5000万ドル(約75億円)の損失を計上したと発表して株価が13%下落。さらにウェスタン・アライアンス・バンコープも同じ借り手に融資していたことを明らかにし、株価が約11%下落した。
こうした中、17日に発表された地銀決算が良好な内容となり、過度な信用不安が和らいだ。これまでトライカラーへのエクスポージャーを開示していたフィフス・サード・バンコープは、引当金が1億9700万ドルと、アナリスト予想の2億3900万ドルを下回った。
フィフス・サードの最高信用責任者、グレッグ・シュロック氏はトライカラー関連のエクスポージャーについて「ポートフォリオ全体の包括的な見直しの一環として厳格に精査された」と説明。「今回の見直しを踏まえ、このカテゴリーに属する顧客に関して信用の質には非常に強い自信を持っている」と語った。
フィフス・サードのティム・スペンスCEOは「ファースト・ブランズとは過去に取引していたが、担保審査の過程でいくつかの問題が判明したため、数年前に関係を解消した」と述べた。同行の株価は午前の取引で一時4.6%上昇した。
トゥルイストの引当金は前年同期比2.7%減の4億3600万ドルで、予想の4億8490万ドルを下回った。貸倒償却額は3億8500万ドルと、アナリスト予想の4億5060万ドルを大きく下回った。
同社はトライカラーへのエクスポージャーはなかったが、ファースト・ブランズには一部エクスポージャーを抱えていると説明した。同社株は一時4%余り上昇した。
トライカラーの破綻を受けて、自動車ローンを手掛けるアライ・ファイナンシャルの決算にも注目が集まっていた。引当金は4億1500万ドルと、市場予想の4億5500万ドルを下回った。同社株は一時7%余り上昇した。
リージョンズ・ファイナシャルも引当金が予想を下回ったが、純金利収入(NII)が予想に届かず、株価は下落した。
原題:Regional Banks Try to Calm Investors After Jittery Stock Plunge(抜粋)
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