日本株市場で高市早苗自民党総裁の首相指名に対する期待が高まる中、投資家やストラテジストはどの政党と連立政権を組もうとも、自民党が政権を握るなら防衛・原子力関連株の投資人気は続くとみている。

自民総裁選翌日の株価急騰を伝える株価ボード

自民は日本維新の会と16日から連立を視野に入れた政策協議を開始し、両党は17日も再度協議する予定だ。緩和的な財政・金融政策を志向する高市政権の誕生を見込み、株高・円安などが進む「高市トレード」は自民総裁選後に活発化した後、公明党の与党離脱を機に逆回転が起きた。しかし、自維連立の可能性がにわかに浮上し、関連売買の持続性に市場参加者の注目が集まっている。

三井住友トラスト・アセットマネジメントの上野裕之チーフストラテジストは、高市関連銘柄の中でも「防衛関連株にはまた資金が流入するだろう」と予想。世界的に地政学リスクが高まる中、政権の形がどうあれ「防衛力の強化はやらないといけない」からだと言う。今月後半に予定されるトランプ米大統領の来日時に、防衛費が話題に上がるとの見方もある。

防衛関連の三菱重工業や核融合関連のフジクラ、原子力発電関連の東京電力ホールディングスなどの株価は足元で騰勢を強め、自公連立の解消を嫌気した週初の下げ分を取り戻した。

もっとも、自維連立が実現しても衆参両院で過半数に届かない少数与党の状況は続くため、政策の推進能力には不透明感が残る。アリアンツ・グローバル・インベスターズの日本株最高投資責任者(CIO)、中塚浩二氏は誰が首相になっても「政権の枠組みも変わり、安定的基盤を構築するのは容易ではないため、政策に期待した投資戦略は慎重に判断する」と話す。

防衛関連や東電HD、日立製作所といった原発関連に対する投資人気の継続期待が強い半面、核融合関連についてはプロジェクトの時間軸が長く、収益化もすぐには見えづらいとの指摘があり、今後はテーマごとにパフォーマンス格差が鮮明になる可能性がある。

しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹シニアファンドマネジャーは「維新や国民民主党などの政党は現実的に政策を判断するとみられ、原発に関わる政策は賛同を得やすいだろう」と分析。一方、核融合関連については「買いは長続きしない」と冷静にみている。

原発関連を巡っては、16日に東電が柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に向けた地元支援などに1000億円を拠出すると明らかにするなど、エネルギー自給率の引き上げに向けた原発活用の機運が高まりつつある。

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