(ブルームバーグ):金と銀が過去最高値を更新した。米国で借り手の信用力を巡る懸念が高まったほか、米中摩擦の激化を背景に、安全資産としての需要が一段と強まった。米金融当局による年内の大幅利下げ観測も広がっている。
金価格は17日に一時1.2%上昇し1オンス=4379.96ドルに達した。週間ベースでは2020年以来の大幅高が見込まれ、8月から続く上昇がさらに勢いを増している。他の貴金属にも買いが波及し、銀は一時1オンス=54.3775ドルと過去最高値を付けた。ただ、その後は上げ幅を縮小した。
米国では地銀2行が不正疑惑に絡む融資問題を公表し、借り手の信用力に対する懸念が強まった。これが金や銀といった安全資産への需要を押し上げた。
また投資家は、米金融当局が年末までに少なくとも1回の大幅利下げを実施するとの見方を強めている。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は今週、今月にも0.25ポイントの追加利下げを行う見通しを示唆した。
米政府機関の閉鎖が続いているため主要経済指標の発表は遅れているが、再開後は景気の減速を示すデータが相次ぎ、追加利下げの根拠となる可能性がある。利息を生まない金にとっては追い風だ。
米中間を含む貿易摩擦再燃への懸念も金相場を支えている。中国の王文濤商務相は16日、最近の緊張の高まりは米国に責任があると非難し、経済のデカップリング(切り離し)に警告を発した。一方、米商務省は先月後半、制裁対象の中国企業と関連する企業にも制裁を拡大する規則を公表している。
金は今年に入り65%余り上昇している。各国の中央銀行による購入や上場投資信託(ETF)への資金流入のほか、地政学および貿易を巡る緊張を受けた安全資産需要の高まりなどが背景にある。
銀を巡っては、ロンドン市場での流動性不足を受けて世界的に需要が高まっており、ロンドンの指標価格がニューヨーク市場の先物価格を上回っている。
原題:Gold and Silver Hit Records on Credit Fears, US-China Tensions(抜粋)
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