(ブルームバーグ):スイスの銀行UBSグループは、富裕層向けビジネスが急成長しているアジアの拠点で顧客資金の出どころに対する監視を強化している。事情に詳しい関係者が明らかにした。
規制当局との新たな摩擦リスクを回避するため、顧客により詳細な情報開示を求める動きが広がる中で、UBSはデロイトとKPMGを起用し、シンガポールを主とし、香港も含めて顧客書類を詳しく調べている。非公開情報だとして関係者が匿名を条件に語った。
マネーロンダリング(資金洗浄)など不正行為の兆候がないかを確認するためだという。UBSは厳格な対応を取っており、調査対象には10年以上前の書類や手書きの資料も含まれると関係者は説明した。
シンガポール当局は2023年に発覚した総額30億シンガポールドル(約3500億円)のマネーロンダリング事件を受け、金融機関への規制と監視を強化している。
富裕層向けの資産運用会社の間には、顧客の資産源や資金の流れを確認する取り組みが広がっている。作業量の増加に対応するため、UBSは外部企業を活用して行内のコンプライアンス(法令順守)担当チームを支援しているという。
UBSとデロイトの広報担当者はコメントを控えた。KPMGは取材メールに回答しなかった。デロイトとKPMGはUBSと他のプロジェクトでも協業していると関係者の1人は話している。
香港とシンガポールは、富裕層資産運用の重要拠点として国際的な存在感を高めている。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)によると、香港の運用資産は31年までに2兆6000億米ドル(約393兆円)とほぼ倍増する可能性があり、早ければ今年にもスイスを抜き、越境資産が集まる世界最大拠点となる見通しだ。
原題:UBS Ramps Up Scrutiny of Asia Clients After Singapore Scandal(抜粋)
--取材協力:Joyce Koh.
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