(ブルームバーグ):米道路交通安全局(NHTSA)は電気自動車(EV)メーカー、米テスラの自動運転支援機能「フルセルフドライビング(FSD)」を使用中の車両が赤信号を無視したり、その他の交通法規に違反したりする事例について調査を進めている。
NHTSAは、FSDを使用中に車両が逆走したケースを含む58件の事案を把握していると明らかにした。NHTSAのウェブサイトに掲載された資料によると、このいわゆる予備調査は、およそ290万台の車両を対象としている。
テスラはコメントの要請に対し、現時点で回答していない。
今回の調査は、テスラの運転支援技術に対する監視をさらに強めるもので、同社を巡ってはドアの不具合や運転支援機能「オートパイロット」、事故の報告が適切かどうかに関して既に調査が実施されている。NHTSAは昨年、FSDが霧など視界が悪化する状況を適切に認識・対応できるかどうかについても調査を進めていると明らかにしていた。
FSDは、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が長年掲げてきた完全自動運転車の実現に向けた中核的な取り組みだ。FSD使用中は常に運転者の監視が求められているが、マスク氏は一部の州では近く、運転者が注意を払わなくてもよくなると予測している。
テスラ株は一時、2.9%下落。年初から前日までに約9%上昇していた。
NHTSAによると、新たな調査で取り上げられた複数の事案では、衝突や負傷が発生している。ただ、現在の調査対象となっている事案に死亡事故は含まれていないという。
NHTSAは、FSDを作動させた状態のテスラ車が赤信号を無視して交差点に進入し、他の車両と衝突したとの報告が6件確認されたとしている。
このうち複数の事故は、メリーランド州内の同一交差点で発生しており、テスラはその交差点での問題に対処する措置を講じたとNHTSAは説明している。
NHTSAによれば、今回の調査はFSDの事例について、その「範囲、頻度、安全性への潜在的影響」を評価するために開始された。
原題:Tesla’s ‘Full Self-Driving’ Faces Another Federal Safety Probe(抜粋)
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