本来、クマは人間を恐れている動物… 住宅地に出没しても「まさか」とは言えない時代に
高柳キャスター:
クマによる人身被害は、今や山間だけではなく、市街地でも発生しています。原因として何が考えられるのか、そもそもクマの数自体が増えているということなのでしょうか。

HBC「クマここ」運営 幾島奈央記者:
地域によっては、確かにクマが増えているという面もあります。ただ、山の中だけで起きている異変というわけでなく、原因が人間社会にあるということを意識していただきたいと思います。
クマは本来、人を恐れている動物です。なので、積極的に人を襲いたくて住宅地にやってきているわけではありません。
ではなぜ、住宅街に侵入してきているのかというところですが、「人間社会の変化」に要因があります。

例えば、人口減少です。昔は、山と住宅地の間に畑や家庭菜園があり、その手前でクマは人の気配を感じ取って、距離をとっていました。ただ人口減少が進み、畑が減り、人の気配も減っていったことで、山と住宅地の距離が近づいていきました。
また、川や空き地などによる緑の通り道が住宅地まで続いているという環境に変化しています。
こうした何十年もかけて変わってきた人間社会の変化によって、クマが入りやすい環境ができてしまっています。なので、「過去30年、うちの地域ではクマが出てないから大丈夫」と思っている方も、「まさか」とは言えない時代に変化したということを意識していただきたいと思います。
井上貴博キャスター:
最近では自治体や猟友会が連携して、クマにGPS付きの首輪をつけるなど個体調査をしていますが、クマとの距離感をどう保っていけばよいのでしょうか。

古坂大魔王さん:
昔は、緩衝地帯の地域を「里」と呼んで、里にクマが現れたとなっても、クマが一番怖がっているわけですから。クマは人間の場所だとはわからないので、クマが住宅街に侵入してくるのも、必然だったのかなと思います。
「クマが可哀想」とか「クマだけを怖がる」という風にせず、僕らは冷静に粛々と人命を優先して、クマが出現したら対処する。でも必要以上には狩らない。そういうバランスを自然界と保っていかないといけないと思います。