今年のノーベル化学賞に、京都大学の理事・副学長の北川進さんら3人が選ばれました。

今年のノーベル化学賞に選ばれたのは、京都大学の理事・副学長の北川進さんと、オーストラリアのメルボルン大学のリチャード・ロブソン教授、アメリカのカリフォルニア大学バークレー校のオマー・ヤギー教授の3人です。

受賞理由は「金属有機構造体の開発」です。北川さんは、金属イオンと有機化合物などの分子で作られたジャングルジムのような構造で、非常に微細な穴を多数持つ「多孔性金属錯体」を開発しました。

「多孔性金属錯体」は無数の微細な穴に、気体などの物質を閉じ込めることができます。そして、その穴の大きさや形状を自由に設計することができるため、特定の物質だけを狙って取り込むことが可能です。

砂漠の空気から水を採取したり、有毒なガスを貯蔵したりするのに利用できるほか、水に含まれる健康への影響が懸念される有機フッ素化合物「PFAS」の除去や、二酸化炭素の回収など環境問題への応用も期待されていて、3人の研究は「人類が直面する大きな課題の解決に貢献する可能性がある」と評価されました。

日本の研究者がノーベル化学賞に選ばれるのは、2019年の吉野彰さんに続いて9人目です。