(ブルームバーグ):資産運用大手の米アレス・マネジメントのキップ・デヴィア共同社長は、人工知能(AI)インフラへの巨額の資金流入によって、生産能力が過剰になるリスクが高まっているとの懸念を示した。世界最大手の投資会社の間ではAIブームに乗じて利益を狙う動きが強まっている。

デヴィア氏は7日、米コネティカット州グリニッジで開かれたフォーラムで「過去20-30年に起きた同様の動きを振り返ると、これほどの設備投資が進む時には最終的に一部が採算が取れないものになる」と指摘した。
また「こうしたトレンドは特定分野での過剰な建設につながる傾向がある。だからこそ、建設対象について慎重かつ選別的になることが重要だ」とも述べた。
ブラックストーンやブルックフィールド、アポロ・グローバル・マネジメント、アレスなどのオルタナティブ資産運用大手は、AIの登場による演算能力への需要が高まったことを受け、データセンターへの投資を拡大している。
アレスは9月、データセンターへの投資や富裕層ビジネス向けに積極的な資金調達を行うと発表した。 短期的には日本やロンドン、ブラジルでデータセンター向けに最大80億ドル(約1兆2200億円)を調達する計画だという。富裕層向けビジネスの資金調達目標は2028年までに1250億ドルと設定している。
アレスは従来、クレジット事業を通じたデータセンターへの資金提供に注力してきた。しかし、今年の上半期にはデータセンター向けに24億ドルを調達し、日本でデジタルインフラ投資の専用ファンドを運用している。
24年には不動産投資などを手掛けるGLPキャピタル・パートナーズの中国以外の事業を最大52億ドルで買収した。デヴィア氏はこの買収で不動産への投資規模が倍化し、データセンターの開発により直接的に取り組むことが可能になったと明かした。
アレスは完成前に締結されたリース契約の期間が15年以上かつ賃料の段階的な引き上げ条項が付されている開発案件に重点を置いている。これにより長期的なリスクを軽減し、保険会社からの資金調達が可能になるという。

原題:Data Center Boom Brings Risks of Overbuilding, Ares’ Says (1)(抜粋)
--取材協力:Amanda Cantrell.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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