(ブルームバーグ):欧州連合(EU)は7日、低迷する鉄鋼産業の保護に向け、新たな関税措置を提案した。トランプ米大統領の保護主義的な政策を踏襲した形だ。
EUの行政執行機関である欧州委員会は輸入される鉄鋼の関税を50%と、現行の2倍に引き上げる案を提示した。鉄鋼輸入の割当枠を超える分に適用する。割当枠自体も約45%縮小する。提案はブルームバーグの先の報道を裏付ける内容だった。
欧州委員会のセジュルネ委員(産業戦略担当)はブルームバーグ・ニュースのインタビューで、「欧州で前例のない非常に厳しい条項だ」とした上で、導入後、EU市場で関税が免除される鉄鋼は全体の約10%にとどまる見通しだと述べた。
こうした措置が提案された背景には、補助金で下支えされた中国製品の供給過剰やエネルギー高、域内需要の低迷により欧州の伝統的産業が衰退しかねないとの懸念が強まっていることがある。
新たな関税水準は、米国が大半の鉄鋼・アルミ輸入品に課している50%関税と同水準となる。EUは米国に対し、EU産鉄鋼の関税引き下げを働きかける一方、足並みをそろえて中国に対抗するよう求めている。だが、7月に米国とEUが大半のEU輸出品に15%の関税を賦課する貿易合意に至って以降、協議は進展していない。
セジュルネ委員は、米国との間で「できるだけ迅速に協議し、結果を出したい」と表明。「われわれは産業分野で米国と同じ課題を抱えている。一段の国内生産、経済成長、産業保護を目指している」と強調した。
現在EUは、鉄鋼輸入が割当枠を超えた分に25%の関税を課している。ただ、この仕組みは暫定的で来年失効するため、欧州委はより恒久的な保護策を準備している。新提案では、全ての鉄鋼分類の年間割当枠を1835万トンに設定し、現行から約45%縮小する方針だ。
今回の提案は、EU加盟国および欧州議会の承認が必要。
原題:EU Boosts Steel Protections With 50% Levy to Aid Industry (2)(抜粋)
--取材協力:Brendan Murray.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.