(ブルームバーグ):オランダの年金基金PME(運用資産680億ドル=現在の為替レートで約10兆2400億円)は、パレスチナ自治区にエクスポージャーを持つ複数企業への投資から撤退を決めた。人権侵害に関与する恐れがあると判断した。
PMEの広報担当者によると、投資から撤退する企業には、米オンライン旅行会社ブッキング・ホールディングス、メキシコのセメントメーカーのセメックス、米電子通信機器メーカーのモトローラ・ソリューションズが含まれる。
広報担当によれば、「数カ月にわたるデューデリジェンス(適正評価)プロセス」の結果であり、パレスチナ自治区ガザの和平案を巡り、イスラエルとイスラム組織ハマスとの間で始まった交渉は、PMEの立場を変えるものでないという。
今回の決定は、一部の資産保有者や資産運用機関の間で、ヨルダン川西岸地区でのイスラエル入植地の定着・維持やガザでの戦闘に加担しているのではないかと不安が高まる状況を反映している。
PMEによると、投資対象から除外される企業の株式と債券の合計保有額は6月末時点で1億5100万ユーロ(約265億円)に上る。
オランダに拠点を置く欧州最大の年金基金ABPも6月30日付の情報開示で、米建設機械メーカー、キャタピラーの持ち分を手放したことを明らかにした。
セメックスの広報担当者は「占領下のパレスチナ自治区で展開している事業はない」と説明。国際法と最高水準の倫理規範に従って事業運営に力を注いでいるとした。キャタピラーとブッキング・ホールディングス、モトローラの広報担当からコメントは得られなかった。
原題:Dutch Pension Funds Are Latest Investors to Cut Israel Risk(抜粋)
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